百物語2010
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235 :林 ◆t9nOsDb75I :2010/08/21(土) 02:06:07 ID:369QDkKcO
【行けば出る・・・らしい】1/3
話は一昨年の夏にはじまる
ある日、漏れが二階の自分の部屋にいると外から妹の声がした
「お〜い、久志〜!(漏れの名前、仮名です)」、大声で何度も呼んでいる
近所まで響くような大声で名前を連呼されてムカついた漏れは、窓から顔を出して妹を叱ったが
妹の方はびっくりしたような顔をしてこちらを見上げ、やがてコソコソとどこかへ行ってしまった
しばらくして妹が息を切らして二階まで上がってきて真面目な顔でこう言った
さっき漏れの部屋の窓に知らない変なおばさんがいたのでおかしいと思って漏れを喚んだら
同じ窓から漏れがそのおばさんと重なるように顔を出したので怖くなって逃げた、という
漏れは呆れて「今、この部屋にそのおばさんはいるのか?」ときいたら
妹は恐る恐る部屋の中を見渡して「おらんみたい・・」と言うのでその時はそれでおしまいになった
漏れは霊感とか全くないようで、その手のものは見たことがないのだ
しかし、その晩ベッドに入っていたら隣の部屋の妹がマンガ持ってやって来た
しかし入って来た途端に「あっ」という顔をするので、漏れが「昼間のが居るんか?」と聞くと、頷く
漏れ「どこに?部屋のどの辺に居るんだ?近くに居るのか?」と慌てて尋ねると
妹は「もうフトンの所におる、久志の左側に一緒に居る!」
それを聞いて漏れは堪らずフトンから跳ね起きて妹と一緒にダッシュで一階の親の寝室まで走った
236 :林 ◆t9nOsDb75I :2010/08/21(土) 02:08:54 ID:369QDkKcO
【行けば出る・・・らしい】2/3
両親の寝室で漏れは母に話したが案の定、そんなことある訳無い、と一蹴された
だが妹は見たと言うし、漏れもこのままではベッドに絶対に戻りたくなかった
そのうえ母の態度も妙で、一緒に上に来てと言っても嫌がって腰を上げようとしない
漏れはこれはもう絶対になにかあると思って半泣きになったが、その直後
横で聞いていた親父が「そんなもん気にせんでもいいやろが」と言った
漏れも妹も驚いたが、父が言うには五年前に今の家を買った時から怪しいやつが居たらしい
神主とかよぶのは近所に体裁が悪いから何もしてない、と言われて親父のケチ根性に腹が立ったが
親父は「ああいうのは見えんやつには何もできんから、おまえには害はないだろう」と言う
漏れの部屋があそこに決まったのも漏れが霊の見えない性質だったかららしい
漏れの家では父と妹は見える人で母と漏れは見えないタイプのようで、漏れも霊とか見たことはなかった
確かに霊の実害はなかったが、そんな理由で部屋を割り当てられたと思うと怖い
結局、漏れは両親に適当に丸め込まれ、以後もその部屋で寝起きしてた
妹はそれ以来、絶対に漏れの部屋に入らなくなったが、漏れの方は害がない事もあって慣れてしまった
部屋にはゴキブリもよく出るのだが、漏れは霊もゴキもすぐ慣れてしまう質なのだ
237 :林 ◆t9nOsDb75I :2010/08/21(土) 02:13:17 ID:369QDkKcO
【行けば出る・・・らしい】3/3
去年の秋、同じ歳のいとこの弘康(仮名)が家に来た
その時、漏れが弘康に自分の部屋に幽霊らしいものが出ると話したら、俄然興味を示して絶対見てやると言って部屋に入った
漏れが「いつもいるわけでも無いみたいなんだけど」と言い終わらないうちに、弘康が後ろ向きに飛び出して来て
「おまえの寝床」と叫んでいるので漏れも焦って部屋まで行ったがやはり漏れには何も見えない
弘康の話では、女(の霊)が漏れのベッドの周りを反時計周りに周回してるそうだ
女はごわごわの髪をして顔はシワだらけでみすぼらしい恰好の中年の女だという
夜になって帰ってきた妹にも聞いたが、前に部屋で見たおばさんと特徴がだいたい一致したのでどうも同じやつらしい
問題はそれ以来弘康のやつが次々と学校の友達を漏れの部屋につれてきた事の方だ
見えた、と言うのは4人に1人くらいで中には何もいないといって怒るDQNもいたりして
なにしろ漏れにも見えないんだから説明できないわけだし
結局この件は母が弘康の親にもんくを言ったのでやがて治まったけど
妹と弘康が示し合わせて漏れをかついでいるとは考えにくいので、そいつは確かにいるんだろう
漏れは、今、こう考えている。
親が死んで漏れが家を継いだら、この部屋を拝観料(見物料)取って公開したらどうかと
なんとなく儲かるのではと思うのである
霊感のない人は見えないので見えなくても自己責任となりますが複数の確実な証言が
あるので間違いないと思います
I県K市M町のM村家です、オープンは何年先か何十年先になるかわからないけどよろしく(宣伝したりして)
完
【行けば出る・・・らしい】1/3
話は一昨年の夏にはじまる
ある日、漏れが二階の自分の部屋にいると外から妹の声がした
「お〜い、久志〜!(漏れの名前、仮名です)」、大声で何度も呼んでいる
近所まで響くような大声で名前を連呼されてムカついた漏れは、窓から顔を出して妹を叱ったが
妹の方はびっくりしたような顔をしてこちらを見上げ、やがてコソコソとどこかへ行ってしまった
しばらくして妹が息を切らして二階まで上がってきて真面目な顔でこう言った
さっき漏れの部屋の窓に知らない変なおばさんがいたのでおかしいと思って漏れを喚んだら
同じ窓から漏れがそのおばさんと重なるように顔を出したので怖くなって逃げた、という
漏れは呆れて「今、この部屋にそのおばさんはいるのか?」ときいたら
妹は恐る恐る部屋の中を見渡して「おらんみたい・・」と言うのでその時はそれでおしまいになった
漏れは霊感とか全くないようで、その手のものは見たことがないのだ
しかし、その晩ベッドに入っていたら隣の部屋の妹がマンガ持ってやって来た
しかし入って来た途端に「あっ」という顔をするので、漏れが「昼間のが居るんか?」と聞くと、頷く
漏れ「どこに?部屋のどの辺に居るんだ?近くに居るのか?」と慌てて尋ねると
妹は「もうフトンの所におる、久志の左側に一緒に居る!」
それを聞いて漏れは堪らずフトンから跳ね起きて妹と一緒にダッシュで一階の親の寝室まで走った
236 :林 ◆t9nOsDb75I :2010/08/21(土) 02:08:54 ID:369QDkKcO
【行けば出る・・・らしい】2/3
両親の寝室で漏れは母に話したが案の定、そんなことある訳無い、と一蹴された
だが妹は見たと言うし、漏れもこのままではベッドに絶対に戻りたくなかった
そのうえ母の態度も妙で、一緒に上に来てと言っても嫌がって腰を上げようとしない
漏れはこれはもう絶対になにかあると思って半泣きになったが、その直後
横で聞いていた親父が「そんなもん気にせんでもいいやろが」と言った
漏れも妹も驚いたが、父が言うには五年前に今の家を買った時から怪しいやつが居たらしい
神主とかよぶのは近所に体裁が悪いから何もしてない、と言われて親父のケチ根性に腹が立ったが
親父は「ああいうのは見えんやつには何もできんから、おまえには害はないだろう」と言う
漏れの部屋があそこに決まったのも漏れが霊の見えない性質だったかららしい
漏れの家では父と妹は見える人で母と漏れは見えないタイプのようで、漏れも霊とか見たことはなかった
確かに霊の実害はなかったが、そんな理由で部屋を割り当てられたと思うと怖い
結局、漏れは両親に適当に丸め込まれ、以後もその部屋で寝起きしてた
妹はそれ以来、絶対に漏れの部屋に入らなくなったが、漏れの方は害がない事もあって慣れてしまった
部屋にはゴキブリもよく出るのだが、漏れは霊もゴキもすぐ慣れてしまう質なのだ
237 :林 ◆t9nOsDb75I :2010/08/21(土) 02:13:17 ID:369QDkKcO
【行けば出る・・・らしい】3/3
去年の秋、同じ歳のいとこの弘康(仮名)が家に来た
その時、漏れが弘康に自分の部屋に幽霊らしいものが出ると話したら、俄然興味を示して絶対見てやると言って部屋に入った
漏れが「いつもいるわけでも無いみたいなんだけど」と言い終わらないうちに、弘康が後ろ向きに飛び出して来て
「おまえの寝床」と叫んでいるので漏れも焦って部屋まで行ったがやはり漏れには何も見えない
弘康の話では、女(の霊)が漏れのベッドの周りを反時計周りに周回してるそうだ
女はごわごわの髪をして顔はシワだらけでみすぼらしい恰好の中年の女だという
夜になって帰ってきた妹にも聞いたが、前に部屋で見たおばさんと特徴がだいたい一致したのでどうも同じやつらしい
問題はそれ以来弘康のやつが次々と学校の友達を漏れの部屋につれてきた事の方だ
見えた、と言うのは4人に1人くらいで中には何もいないといって怒るDQNもいたりして
なにしろ漏れにも見えないんだから説明できないわけだし
結局この件は母が弘康の親にもんくを言ったのでやがて治まったけど
妹と弘康が示し合わせて漏れをかついでいるとは考えにくいので、そいつは確かにいるんだろう
漏れは、今、こう考えている。
親が死んで漏れが家を継いだら、この部屋を拝観料(見物料)取って公開したらどうかと
なんとなく儲かるのではと思うのである
霊感のない人は見えないので見えなくても自己責任となりますが複数の確実な証言が
あるので間違いないと思います
I県K市M町のM村家です、オープンは何年先か何十年先になるかわからないけどよろしく(宣伝したりして)
完
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