百物語 第一回
Part9
118 :たっぺぇ ◆bx6hWDVQmQ :2006/07/22(土) 23:42:38 ID:8gWpgJ2y0
では。九話目「猫」
1/3
ずいぶん前にどっかのスレに書いたから、
初出ではないんだが・・・
一匹の猫のはなし。
ばあちゃんの父ちゃんが体験した話だ。
まだ、ばあちゃんが子供の時のこと。
ばあちゃん家では一匹の猫を飼っていた。
ばあちゃんの父ちゃん(以下 田吾作(仮名))は 毎日畑仕事に行くんだが、
終わりころになると、きまって 猫が向かえに来た。
で、一緒に家まで帰るんだが、 その日はいくら待っても猫が来ない。
しょうがないので田吾作は一人で家に帰ることにした。
すると、途中の道で一匹の猫が走りよって来た。
よく見ると田吾作の家の猫だ。
121 :たっぺぇ ◆bx6hWDVQmQ :2006/07/22(土) 23:43:20 ID:8gWpgJ2y0
2/3
たわむれに、田吾作が
「おまえ、どうしたんだ今日は?ずい分遅かったじゃないか?」
と話しかけると、猫はすまなそうに
「はぁ、今日は『おじや』が熱かったぁ。
だから時間がかかったぁ。」
と言ったように聞こえた。田吾作は驚いたが、気のせいだと いうことにして、
ひとまず猫と一緒に家路を急いだ。
家につき、ふと思い出してそれとなく女房(ばあちゃんの母ちゃん 以下ヨネ(仮名))に猫が遅かった旨を伝えると、
「あぁ、そういえば今日は、やたらとおじやを
時間かけて食べてたねぇ。それで遅くなったんでしょう。」
という返事が返ってきた。田吾作は再度驚いたが、
さっきのは鳴き声が偶然そういう風に
聞こえただけだ、と思い込み、自分を納得させた。
122 :たっぺぇ ◆bx6hWDVQmQ :2006/07/22(土) 23:43:53 ID:8gWpgJ2y0
3/3
それから数日は何事も無く過ぎ、ある深夜のこと。
田吾作は何かの気配を感じて目を覚ました。
そっと気配のするほう、障子をあけて見ると、
猫が手ぬぐいをほっかむりして、日本足で踊っている。
仰天した田吾作は、ヨネを起こし、二人でその光景を見ていた。
あくる朝。もう猫をこの家においておくことはできない、
と思った田吾作とヨネは、にぎり飯をふろしきに包み、 猫に背負わせ、
「すまねぇ。おまえは化け猫だ。人間の俺らとは
一緒に住めねぇ。わかってくれ。」と泣く泣く山に放した。
猫は一度振り返り、「にゃん」と短く鳴くと、山に消えていった。
その後、何度かばあちゃんの家では猫を飼ったが、
こんな不思議な猫は二度とあらわれなかったという。
このはなしは、幽霊や妖怪話をあまりしなかった
俺のばあちゃんが、「これは本当の話だ」といって
俺と俺のおふくろ(ばあちゃんの娘)に 何度も何度も聞かせた話だ。
いかにも作り話みたいだが、 このはなしを話すときの、あのばあちゃんの真剣な顔を思い出すと、
本当にあったんじゃねーかなぁ・・なんて思えてならない。
【完】
では。九話目「猫」
1/3
ずいぶん前にどっかのスレに書いたから、
初出ではないんだが・・・
一匹の猫のはなし。
ばあちゃんの父ちゃんが体験した話だ。
まだ、ばあちゃんが子供の時のこと。
ばあちゃん家では一匹の猫を飼っていた。
ばあちゃんの父ちゃん(以下 田吾作(仮名))は 毎日畑仕事に行くんだが、
終わりころになると、きまって 猫が向かえに来た。
で、一緒に家まで帰るんだが、 その日はいくら待っても猫が来ない。
しょうがないので田吾作は一人で家に帰ることにした。
すると、途中の道で一匹の猫が走りよって来た。
よく見ると田吾作の家の猫だ。
121 :たっぺぇ ◆bx6hWDVQmQ :2006/07/22(土) 23:43:20 ID:8gWpgJ2y0
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たわむれに、田吾作が
「おまえ、どうしたんだ今日は?ずい分遅かったじゃないか?」
と話しかけると、猫はすまなそうに
「はぁ、今日は『おじや』が熱かったぁ。
だから時間がかかったぁ。」
と言ったように聞こえた。田吾作は驚いたが、気のせいだと いうことにして、
ひとまず猫と一緒に家路を急いだ。
家につき、ふと思い出してそれとなく女房(ばあちゃんの母ちゃん 以下ヨネ(仮名))に猫が遅かった旨を伝えると、
「あぁ、そういえば今日は、やたらとおじやを
時間かけて食べてたねぇ。それで遅くなったんでしょう。」
という返事が返ってきた。田吾作は再度驚いたが、
さっきのは鳴き声が偶然そういう風に
聞こえただけだ、と思い込み、自分を納得させた。
122 :たっぺぇ ◆bx6hWDVQmQ :2006/07/22(土) 23:43:53 ID:8gWpgJ2y0
3/3
それから数日は何事も無く過ぎ、ある深夜のこと。
田吾作は何かの気配を感じて目を覚ました。
そっと気配のするほう、障子をあけて見ると、
猫が手ぬぐいをほっかむりして、日本足で踊っている。
仰天した田吾作は、ヨネを起こし、二人でその光景を見ていた。
あくる朝。もう猫をこの家においておくことはできない、
と思った田吾作とヨネは、にぎり飯をふろしきに包み、 猫に背負わせ、
「すまねぇ。おまえは化け猫だ。人間の俺らとは
一緒に住めねぇ。わかってくれ。」と泣く泣く山に放した。
猫は一度振り返り、「にゃん」と短く鳴くと、山に消えていった。
その後、何度かばあちゃんの家では猫を飼ったが、
こんな不思議な猫は二度とあらわれなかったという。
このはなしは、幽霊や妖怪話をあまりしなかった
俺のばあちゃんが、「これは本当の話だ」といって
俺と俺のおふくろ(ばあちゃんの娘)に 何度も何度も聞かせた話だ。
いかにも作り話みたいだが、 このはなしを話すときの、あのばあちゃんの真剣な顔を思い出すと、
本当にあったんじゃねーかなぁ・・なんて思えてならない。
【完】
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