男「だって普通逆じゃない?主人が前でメイドとか使用人は後ろにいるもんだろ」
メイド「それ、いつの時代の常識ですか?」
男「いや、最近だけど」
メイド「ご主人様、もう使用人が後ろで控えているという時代は終わったのです」
男「どんな時代だよ」
367: 1:2012/3/22(木) 19:12:08 ID:upUyOZQyEI
社員「ところで、男君は菅野さんに何の御用かな?」
男「え?」
社員「ごめんね、立場上菅野さんは狙われやすいからさ、君なら大丈夫だろうけどね」
男「実は…投資の件で…」
社員「!!」
男「父が本格的に菅野さんに投資を決定したみたいで、契約書を持ってきて、確認の為に…」
社員「オーケイ、君のお父さんは英断をしたね」
男「菅野さんには俺も返しきれない恩がありますし、父も交流があったので」
社員「うんうん、義理堅いねぇ…」
368: 1:2012/3/22(木) 19:17:05 ID:upUyOZQyEI
男「・・・あれ?」
社員「どうしたんだい?」
男「あの扉…妙に硬そうな金属ですね」
社員「・・・ああ、あの部屋ね」
男「なんの部屋ですか?」
社員「うーん…言っていいのかな…まあ、君ならいいか」
社員「あまり大きな声では言えないんだけど…あの部屋には麻薬使用者が収監されているんだ」
男「麻薬使用者!?」
社員「しーっ!!声が大きいよ!!頼むよ…僕の首がかかってるんだから」
男「す、すいません」
369: 1:2012/3/22(木) 19:22:41 ID:a/MzvaxcXo
社員「まあ、麻薬っていうのは聞こえが悪いかな…」
社員「正確にはわが社が開発した薬で、一時的に筋肉が増長する作用を持つんだ」
社員「でも、急激な筋肉の増長で体に負担がかかるから、あまり大っぴらに使えなくてね…あの部屋に薬を飲ませて経過を観察してるんだ…」
男「それって…人体実験じゃ…」
社員「まあ、そうなるね…ここで聞いたことは誰にも言っちゃ駄目だよ?」
男「わかりま…」
ドゴーン!!
社員「!!」
男「今の音は!?」
370: 1:2012/3/22(木) 19:25:43 ID:upUyOZQyEI
社員「あの部屋から…侵入者か!!」
男「どういう事ですか!?」
社員「あの部屋は菅野さんの部屋に直結してて、侵入者が一番通りやすい通路なんだ」
男「つまり…番人」
社員「尋常じゃない筋肉増長した人だからね…守るのにはうってつけなのさ…」
男「じゃああの音は…」
社員「中で被験者と侵入者が戦ってるね…」
371: 1:2012/3/22(木) 19:29:08 ID:a/MzvaxcXo
男「鍵は!?」
社員「へ?」
男「あの部屋に入る為の鍵ですよ!!」
社員「こ、ここにあるけど…」チャラ
男「貸して下さい!!」
社員「入る気かい!?危険だよ、何かあったら…」
バチィ!!
社員「あ…ぐ…」ドサッ
男「すいません…でも迷ってる時間は無いんです!!」
男「メイド…今行くからな!!」
ゴゴゴゴゴ
372: 1:2012/3/22(木) 19:31:15 ID:upUyOZQyEI
男「なんだ・・・あれ」
「フシュー…」
男「に、人間じゃない…あれは化け物だ…」
メイド「う…く…」ヨロヨロ
男「メイド!?」
メイド「ご主…人様」
男「一体…何があったんだ…?」
373: 1:2012/3/22(木) 19:59:38 ID:upUyOZQyEI
〜〜〜15分前〜〜〜
メイド「おかしいですね…」
メイド「先程の襲撃以来何も来ない…」
メイド「罠も無いみたいですし…これは、誘い込まれてる?」
メイド「なんにせよ…私には進むしかありませんし、構いませんが…」
メイド「ご主人様は…心配して下さるでしょうか…」
メイド「・・・自意識過剰ですね」
374: 1:2012/3/22(木) 20:02:58 ID:upUyOZQyEI
メイド「何やら広い部屋に出ましたが…」
メイド「・・・あの扉、いかにもって感じがいたしますが、きっと罠ですね」
メイド「やはりどこかに鍵が…!?」
ドゴン!!
メイド「っ!?床が割れた!?」
「フシュルルル…」
メイド「デタラメですわね、その筋肉…さぞかしボディービルの成果が出ている事で」
メイド「・・・鬼瓦?」
鬼瓦「ガァァァァ!!」ブン
375: 1:2012/3/22(木) 20:07:06 ID:upUyOZQyEI
メイド「・・・」ヒラリ
メイド「異様なまでに発達した筋肉…数日でどうにかなるとは思えない…」
メイド「薬品投与、人体実験…」
メイド「叩けば埃が出まくりですわね…全く」
鬼瓦「ガァァ!!」ブン
バゴン!!
メイド「鉄で出来た壁がめり込む…まともに当たったら大変な事になりますわね…はっ!!」
鬼瓦「グルル…」
メイド「意に介さないですか…結構力入れたつもりなんですけど…」
メイド「手加減…する必要は無さそうですね」ニコ
376: 1:2012/3/22(木) 20:11:44 ID:upUyOZQyEI
鬼瓦「ガァ!!」ブン
ゴガン!!ドゴン!!
メイド「くっ!!早くなっている!?」
鬼瓦「グァアア!!」
ドゴーン!!
メイド「動きは単調でも、緩急をつけられると咄嗟に反応しきれませんわねっ!!」バキッ!!
鬼瓦「グルル」ガシッ
メイド「しまった!!掴まれた!!」
鬼瓦「ガァァァァ!!」ビタン!!
メイド「あぐ…!!」
鬼瓦「ガァァァ!!」ブン
バキッ!!
メイド「かはっ!!」
377: 1:2012/3/22(木) 20:15:19 ID:a/MzvaxcXo
メイド「油断…しましたか…」
鬼瓦「・・・」ズンズン
メイド「体が…上手く動かない…」
鬼瓦「・・・」ズンズン
ゴゴゴゴゴ
鬼瓦「?」クルッ
メイド「う…く…」ヨロヨロ
男「メイド!?」
メイド「ご主…人様」
378: 1:2012/3/22(木) 20:17:30 ID:upUyOZQyEI
男「メイド!!しっかりしろ!!」
メイド「なん…で…」
男「血が!?大丈夫か!?」
メイド「なんで…来たんですか…」
男「決まってるだろ!!お前を一人でいかせるかよ!!」
メイド「・・・」
男「・・・鬼瓦?」
鬼瓦「フシュー」
379: 1:2012/3/22(木) 20:19:59 ID:a/MzvaxcXo
メイド「お下がり下さい…ご主人様」
メイド「あれは…勝てる相手ではありません…」
男「お前こそ、ボロボロじゃないか、休んでろ」
メイド「そうは、まいりません」
男「いいから休んでろっての!!」グイ
メイド「きゃっ」
男「・・・なんでそんな声出すかな」
メイド「ご主人様が出させたんです」
男「あのなぁ…」
鬼瓦「ガゥ!!」
380: 1:2012/3/22(木) 20:24:36 ID:a/MzvaxcXo
男「おっと…待たせたな」
男「ゲームじゃよくやるけど、人を狙うのは初めてかな?」カチャ
メイド「ご主人様!!」
鬼瓦「!?」
男「安心しろ、一瞬だ」
パシュ!!
鬼瓦「グ、ゥウウウウ」フラフラ
ズシーン!!
メイド「一体…何を…」
男「麻酔を撃ち込んだ、鯨を眠らすくらい強力なやつだ、多分二日は起きないだろ」
男「ほら、傷見せてみろ」
メイド「・・・」
男「メイド?」
メイド「触らないでくれる?」
男「!?」
381: 1:2012/3/23(金) 00:08:09 ID:0HxDtJds0Y
メイド「私がどんな思いで一人で来たか分かってるの?」
男「そんな言い方無いだろ!!心配したのに」
メイド「心配?本気?」
男「な、なにがだよ…」
メイド「私より弱くて、考え無しで、そのくせ虚栄心だけは高くて、意地っ張りで、自分の事を考えない」
メイド「そんな…貴方が心配?馬鹿も休み休み言って」
男「いや…最後は関係無いだろ…」
382: 1:2012/3/23(金) 00:10:39 ID:0HxDtJds0Y
メイド「ここからは貴方の出番はありません、早く帰りなさい」
男「何言ってんだよ!?俺も行く…」
メイド「男」
男「!!」
メイド「帰って…お願いだから…」
男「お前…それ…」
メイド「・・・」クルッ
スタスタスタスタ
383: 1:2012/3/23(金) 00:14:21 ID:0HxDtJds0Y
男「・・・」
男「メイドが名前を呼び捨てにしたって事は…契約破棄の証…」
男「なんで…だよ」
男「俺は…あいつを一人で行かせるのが嫌で…あいつは俺に来てほしくなくて…」
男「俺が…ここに来たから…契約破棄をした…」
男「なんだよ…俺、結局何も出来てないじゃねーか…」
男「それどころか…メイドを…契約破棄…」
男「・・・」
384: 1(投下終了):2012/3/23(金) 00:17:53 ID:.zQQ4y5jKw
メイド「・・・」
メイド「契約破棄、ご主人様は気づきましたよね…」
メイド「もう、あの人を、ご主人様とお呼びできない…」
メイド「・・・泣かないって決めたのに、後悔しないって決めたのに」
メイド「どうして?何故涙が止まらない?」
メイド「・・・好きです、ご主人様」
メイド「世界中の誰よりも、貴方を愛しています」
メイド「・・・今となっては、無意味ですけどね」
メイド「もう後戻りは出来ません」
メイド「菅野…覚悟をしてもらいます」
385: 1:2012/3/23(金) 15:48:29 ID:YGdwWja6oE
〜〜〜菅野の部屋〜〜〜
菅野「おや、可愛らしいメイドさんですね、なんの用ですか?」
メイド「貴方の罪を暴きに」
菅野「これはこれは…あまり怖いことを言わないように」
メイド「冗談だと思いますか?」
菅野「ここまで来たなら本気なんでしょうね」
菅野「それで?私をどうするおつもりですか?」
メイド「警察に引き渡します」
菅野「証拠も無いのにつき出されるのは御免ですよ、名誉毀損で訴え…」
メイド「人体実験、麻薬精製、誘拐拉致」
菅野「・・・」
メイド「捜査の手が入ったら…ふふ、どうなりますかね…?」
386: 1:2012/3/23(金) 15:56:52 ID:YGdwWja6oE
菅野「人体実験、麻薬精製は確かに認めよう、だが誘拐拉致に関しては否定せざるを得ないな」
メイド「確かに貴方はしてませんね、ですが指示はした」
菅野「・・・」
メイド「共犯どころか黒幕ですからね」
菅野「なるほど…これは八方塞がりかな?」
菅野「しかしながら、僕が君を捕まえれば僕は捕まらないどころか、君のご主人様達に名誉毀損で訴えられて、大金をふんだくり更に一生これをネタに脅す事も出来るね」
メイド「残念ながら…私にはもうご主人様はいません」
菅野「何?」
メイド「先程、契約破棄をいたしました、仮にこの場にご主人様がいらっしゃっても、声高々に仰るでしょう」
メイド「こんなメイド…知らない、と」
253.37 KBytes
[4]最25 [5]最50 [6]最75
[*]前20 [0]戻る [#]次20
【うpろだ】
【スレ機能】【顔文字】