季節は春――
出会いと別れの季節
今年、高校2年生になった男にも、出会いがあった。
後輩「ねぇ、男先輩、僕の話を聞いてくれません?」
男「だが断る。この男のもっとも――」
後輩「それじゃあ話しますね」
男「あれぇ!?」
※このSSはフィクションです
登場する人物、団体、地名、一部の都市伝説などの名称はたぶんすべて架空のものです
また、物語の進行上、現実に存在する都市伝説の設定を一部変えているので、そこら辺ご了承くださいまし。
あと、文章や内容変でも大目に見てやってください(切実)。
400: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/30(金) 02:11:19 ID:dQdSMz.X2A
鏡「しかし、あんたは何で自分が犯人になってまで女を庇おうとしたんだ?」
トリック「ワタクシ、女さんには恩がありますの」
鏡「恩?」
トリック「ええ、女さんには命を救われましたの」
トリック「ワタクシがある女の子の人形に取り憑いていたときのことでした」
トリック「その子が男子のイタズラのターゲットにされた時、ワタクシが取り憑いていた人形を男子がどぶ沼に投げ捨てましたの」
401: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/30(金) 02:13:20 ID:aduN8GDWuU
トリック「周りに他に取り憑く物もない。ワタクシは、ああ、もう消えてしまうんだ、と思いましたわ」
トリック「そんな中、ワタクシに手を指し伸ばしてくれたのが、女さんでしたの」
トリック「泥だらけになりながらも必死に、自分の物でもない人形を必死に助けようとしていましたわ」
トリック「そしてワタクシ、決めたのです。この人についていこうと。この人のためなら自分を犠牲にできると」
女父「あったな、そういえば、娘が泥だらけで帰ってきたことが……小学生の時だったかな…」
402: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/30(金) 02:15:48 ID:cjWAihIEcc
トリック「ですが、だからこそ信じられないのです。女さんがこんなことをするなんて」
テケテケ「それは、きっと女さんにしか分からないよ」
テケテケ「メリーちゃん、男に電話して!」
メリー「了解!」
テケテケ「トリックさん、一緒に行こう?女さんのところに。そして、どうしてこんなことをしたのか聞こう!」
トリック「……はい!」
403: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:24:10 ID:pcXaBLhQCM
展望台にて
女「何の力もない人間風情が、私と闘り合おうってかい?」
男(まともに戦って勝てるわけがない)
男(まず、戦ってあいつが消えるとは限らない)
男(というか、これバトル系のSSじゃないからなるべく戦いとかしたくない!)
404: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:25:29 ID:E2h2zW9H3w
男(都市伝説には消える条件がある)
男(テケテケなら地獄に帰れと言う。口裂け女ならポマードやベッコウ飴)
男(きっと、こいつにだって何か)
女「私の消える条件を考えてるな?」
男「何故バレたし」
405: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:26:43 ID:n2UWPiPnOM
女「さっきも言ったように、私は取り憑いた人間が死なないと消えないんだ」
女「それ以外に方法はない」
女「そして、あんたが来てからこの体の通常人格がもっと強くなりはじめてね」
女「あんたを殺して、私も死のう」
男と女の周りには、軽く百本を超えるナイフが宙を舞っていた
406: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:28:11 ID:O.M8pmHLw6
女「都市伝説、ラブホテル殺人事件には私の存在は詳しく書かれてない」
女「詳しく書かれてないってことはだ、殺害方法は私が割と自由に決めちゃっていいってことなんだぜ」
女「私は百本以上のナイフを自由に出し、そして自由に操作できる」
女「手で触れずにな!」
407: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:29:45 ID:ZfWPauMvYQ
男「何の力もない人間の俺相手には、ちょっとチートすぎるんじゃない?」
女「文句は、私を創った奴に言いな。死ねば会えるぜ」
男「そりゃ、だいぶ遠い未来になるぜ」
女「私はだいぶ近い未来だと思うがな」
ナイフが一斉に動きだし、男を刺す
408: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:31:24 ID:UgNlKRPWhA
男「ぐっ…!」
女「おいおい、まだ生きてたのか。しぶといね」
女(おかしい、ナイフには刺した後切り刻むとインプットしといたはず)
女(何で発動しない?奴はまごうことなきただの人間)
女「……」ハッ!
女「お前か、通常人格!」
409: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:32:56 ID:AXHvj7glAs
男(何か知らんが、あっちはもめている。今がチャンス)
男(だが、まずい。全身に刺さったナイフのせいで、こっちは立っているのがやっと)
男(せっかくのチャンスだが、何もできない)
女「まあいい、この男はもうこのままでも死ぬ。だが」
女「もっとすぐに殺してやる」
410: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:35:30 ID:Ejh2h1UHTY
女「痛そうだなー、そのナイフ」
男(まさか、この感覚は)
女「今、抜いてやるよ」
男「ッ……!」クラッ
女「うん、たまには失血死で殺すのも悪くない」
男(クソッ…誰か…)
411: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:37:55 ID:kxCo2iotLY
女「でも、やっぱり」
再び、ナイフが動く
女「刺し殺そう」
テケテケ「そんなことはさせないよ!」
女「いきなり、誰だお前?」
テケテケ「人間同盟、テケテケ参上!」バーン!
メリー「同じく人間同盟、メリーさん参上!」バーン!
テケメリ「二人はプリキュ」
男「アウトー!!」ゴホッ!ゲホッ!グハッ!
トリック(なんとツッコミ精神たくましい殿方なのでしょう)
412: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:40:16 ID:o6D2/o4bEU
メリー「もしもし、鏡?今GPSで場所確認したやつ送信するね!」ピッ
女「メリーさんか、だがそこの男は電話に出てねーのに何故来れた?」
トリック「ワタクシ、電話の電波に乗って来れますので、メリーさんと男さんの電話を繋げるなんて余裕ですわ」
女「あ?今度は誰だよ、どこにいやがる」
トリック「ワタクシ、九十九神。今は男さんの携帯電話にいますわ」
トリック「そして、やはり貴女、女さんではありませんわね」
女「ああ、そうだよ。それがどうしたよ、九十九神様ぁ!全く次から次へと増えやがって!温厚な私も流石にキレるぜ!」
ナイフは増える
百本…二百本…三百本…!
女「お前ら全員、滅多刺し!」
413: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:43:16 ID:6iuxfNo7OE
警察署内にて
鏡「メリーから場所が送られてきた」
鏡「場所は高井展望台だよ!」
警察「ここからなら車で二十分ほどですね。急ぎましょう!」
女父「ああ!」
414: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:44:47 ID:qcDttONIGI
警察署駐車場にて
後輩「待ってください、刑事さん」
女父「ん?君はいつぞやの」
警察「何してるんです警部!置いてきますよ!」
女父「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
女父「悪いな、今君と話してる時間はないんだ。私達は急いで」
後輩「この間話した都市伝説の女性の正体が分かりました」
415: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:46:26 ID:1eRjVZpXZM
女父「今その話をしなくてもいいだろ?さっき言いかけたが私達は急い」
後輩「正体は、ただの女性でした」
女父(え、何この子、話聞いてくれない)
後輩「その女性はナイフを何本も自由に出すことができなければ、何かを操るなんてこともできません」
後輩「ただの女性なんです」
後輩「僕が伝えたかったのはそれだけです」
女父「そうか、できれば暇なときに聞きたかったよ、じゃあな!」
416: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:48:08 ID:b31cP5Wgpc
展望台にて
女「まずは、テメーからだ、テケテケ!」
約三百本以上のナイフがテケテケに向かっていく
だが、途中でナイフは力をなくし、カランと音をたて落ちてゆく
女「は?どうなってやがるおい!ナイフが動かねぇ!」
女「クソッ!なら直接……!?」
女「か、体が、動かない!?」
417: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:49:39 ID:QN1MbA/.l.
女「またテメーか!通常人格ゥ!」
『ナイフを何本も自由に出すことができなければ』
女「……違う、これは!」
『何かを操るなんてこともできません』
女「誰かが、誰かが!」
『ただの女性なんです』
女「私の都市伝説を変えやがったな!」
418: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:51:12 ID:EcB1hKr8to
女(……!何かを操ることができねーってことは)
女(この女も操れねーってことか!)
女(だが、私はこの体が死ぬまで出ることができない)
女(つまり!)
女「私はこいつが死ぬまで、こいつの中にいなきゃいけねーってことかよ、チクショー!」
それが、最後の言葉だった
419: 郵便屋 ◆jWU.FEbXOc:2011/12/31(土) 15:52:46 ID:er1kGvKtyM
病院にて
男「……知らない天井だ」
女「あ、気が付いた!」
男「女!お前、もう大丈夫なのか?」
女「うん。でも、私の中にまだあの人がいるっていうのは感じる」
男「そうか…」
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