注意
このスレには捕食、虐殺、首跳ねのようなグロ成分が含まれています。
直接的な表現は極力減らしていますが、苦手な人はすぐに戻ってください。
90: ◆MEIDO...W.:2011/10/25(火) 22:00:44 ID:s2iZiCbKVc
人里を後にして、王都に続く道で奴らを待っている時に、再び雨が降ってきた。私は雨上がりは好きだが、雨はあまり好きではない。雨音で微かな足音や呼吸音が聞こえなくなってしまって、取り逃がすことがあるからである。
だが、それはただの杞憂だったようだ。馬の足音は雨でも良く聞こえる。馬には恨みはないが犠牲になってもらおう。
91: ◆MEIDO...W.:2011/10/25(火) 22:01:57 ID:negvAIp2jI
奴らの乗った馬がほぼ同時に私の中に入った。スピードは速かったが、なんとかアキレス腱を切り裂けた。
馬はバランスを崩して、奴らを振り落として、倒れた。奴らは何が起こったか分からないような顔をして、地面に倒れている。気づかれないように髭から夫婦石を奪い、持ち物を全て溶かす。奴らは起き上がって、自分達の馬を確認し始めた。
生憎、まだ私の中にいるのだ。さて、そろそろ狩りの始まりだ。
92: ◆MEIDO...W.:2011/10/25(火) 22:03:02 ID:negvAIp2jI
「お困りですか?」
狩りと言っても、私はスライムの状態でこいつらを殺す気はない。私は元に戻る前に少し変化を加えてから、形を変えた。
「いや、馬が……」
私を見て、細身の方の顔みるみる変わっていく。
「どうした……?なっ!」
髭も今の私の姿に驚きを隠しきれなかったようだった。
「何ですか?私の顔に何かついてますか?それとも、見覚えのある顔なんですかね?」
今の私はルーシーだ。自分達で廃人のようにした人間が自分達の前に立っているのだから、驚かない方が難しいだろう。
「くそっ!」
「……俺の杖がねえ!」
奴らは何かを抜こうと、腰のあたりを探すが、何も見つからなかったようだった。私はそれをただクスクス笑いながら見下ろしていた。
「どうしたんですか?そんなに怯えて。私、そんなに酷い顔していますか?」
私はゆっくり近づいていく。細身が懐からナイフを取り出したかと思うと、私の左目と首に刺さっていた。
「あらあら。本当に酷い顔になっちゃいましたよ」
スピードを変えることなく、笑顔を絶やさず、さらに近づいていく。細身は腰を抜かしたようで、立てずに震えていた。
「クソが!」
髭は私の顔に殴りかかってきた。それを少し首を傾けてかわしてから、しっかりと腕を掴む。
「女性に殴りかかってくる精神を疑いますよ」
そのまま思い切り腕を捻った。髭が悲鳴をあげたが、私の知ったことではない。左目のナイフを引き抜いて、髭の右足に深くさしてやった。そして、髭を細身の隣に突き飛ばした。
「覚悟は出来たか?」
私は体の中にしまっておいた剣を取り出した。私がルーシーにもらったあの剣だ。
「そ、そうかわかっ……」
髭が色々言っているが、私には聞こえない。また頭の中で何かが騒いでいる。今回は今まででも最大の音だった。あまりの音量に一瞬意識を失いそうになったが、無理矢理離れていく意識を引き戻した。剣を鞘から抜き、奴らに向けた。
「タヒね」
93: ◆MEIDO...W.:2011/10/26(水) 15:00:37 ID:um8Iuczxw.
後処理は癪だったが、全部溶かしておいた。血は雨が流してくれるだろう。もうここには用はない。さっさと戻るとしよう。
94: ◆MEIDO...W.:2011/10/26(水) 15:03:50 ID:J4YZkVOK3.
「ミシェルさーん」
私がルーシーの家のドアを開けようとしたのより早く、ドアが開いて、ルーシーが飛びついてきた。
「どこ行っていたんですか?心配したじゃないですか」
「えっ……あー……ちょっと社会見学に」
なんとなくルーシーの目を真っ直ぐ見ることが出来なかった。
「そうですか。今度からは私に伝えてから行ってくださいよ」
「あ、そう言えばあいつは?プリマリアは?」
あいつには少しばかり聞きたいことがある。ルーシーが普通に生きているのは嬉しいのだが、少し様子が変だ。
「ああ、奥で寝ていますよ。それにしてもミシェルさんから姉さんに話をしようなんて珍しいですね」
今何と言った。プリマリアが姉と言ったのか。あいつはルーシーに何をしたんだ。
「ルーシー、ちょっとごめん」
抱きついているルーシーを離して、あいつが寝ているという寝室に無理矢理押し入った。
95: ◆MEIDO...W.:2011/10/26(水) 15:04:42 ID:J4YZkVOK3.
「プリマリアァァァ!」
「五月蠅いわね……そんなに大声出さなくても聞こえるわよ。こっちは疲れているの」
ベットから上半身を起こしていたプリマリアの胸ぐらを掴もうとしたが、いつの間にか寝室の壁まで吹っ飛ばされていた。
「ルーシーに何をした!」
「五月蠅いって言ってるのがわからないの?黙りなさい。黙れば話を聞いてあげる」
立ち上がろうとしたとたんに頭上から大量の水が降ってきて、水流に耐えられず床に倒れた。
「くっ……」
今のでよくわかった。私ではこいつに勝てない。だから大人しく黙るとしよう。
「それで良いのよ。何をしたかを教えてあげるわ。私はあの子を助ける為にエリクサーを使ったの。それで今朝起きた事の記憶も消した。そこまでは良かったのよ。どうやらエリクサーの配合をちょっと間違えていたらしくてね。あの子、絶えず魔力を放出する体質になっちゃったのよ。エリクサーを作ったのが私じゃなきゃ、ほっとくんだけど、作ったの私だし。しばらくは魔力供給しないとあっという間に死んじゃうのよね。言っておくけど、あなたが魔力供給したら一瞬で干からびるわよ。赤の他人に魔力供給されるのはあの子も気が引けるだろうから、ちょっと過去を変えさせてもらったわ」
96: ◆MEIDO...W.:2011/10/26(水) 15:05:04 ID:J4YZkVOK3.
こいつの言いたいことは大体わかった。自分の失敗の埋め合わせをしているだけだ。ルーシーを助けたいわけではない。それにしてもこいつは過去を変えたと言ってのけた。確かにルーシーに嘘をついている様子はなかった。
「あなたの考えは大体わかるわ。どうやって?でしょ?ちょっと時間を遡ったのよ。おかげでクリスタル全部使ったけど」
本当にこいつは何者なんだ。エリクサーを作ったり、記憶をけしたり、過去を変えるなど普通ではない。
「まぁ、私はあの子をちゃんと治したら消えるから、安心しなさい。エリクサー作り直すから、しばらくかかるけど」
「……一体あなたは何者なの?」
今まで聞くのに少し抵抗があった言葉が不意に口から漏れた。
「それ、もうあなたの中では答えは出ているんじゃないの?」
この近辺で大量の金を手に入れることが出来て、血のにおいがして、強力な魔法を使える奴は一人しか知らない。
「しばらくの間よろしく頼むわ。ミシェル・アンデルセン」
97: ◆MEIDO...W.:2011/10/26(水) 15:05:27 ID:um8Iuczxw.
私の、ミシェル・アンデルセンの話は中途半端だがここまでとさせてもらう。あの日以降のあいつといた数ヶ月は思い出すと反吐が出そうになる。とても話をする気にはなれない。
簡単に話をするとするならば、大量の血を浴びた。理由?理由は察して欲しい。えっ?今幸せかって?当然。それでは、失礼させてもらう。また会う機会があれば、また話でもしましょう。
98: ◆MEIDO...W.:2011/10/26(水) 15:18:32 ID:um8Iuczxw.
あとがき
武器の貯蔵は十分か?英雄王!さあ!私をフルボッコにしろ!
はい、終わりです。続きません。続かせません。誰がなんと言おうと終わりです。
オチに不満が一杯の方は私をフルボッコにしてストレス発散してください。
一応、私が書いた中で一番長い話です。まあ、更新されそうですが。
まあ、とりあえずここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。
もし暇だったら、次作もよろしくお願いします。
99: 名無しさん@読者の声:2011/10/26(水) 17:02:45 ID:k3TXlquVCA
お疲れさまでした、素敵な話ありがとうございました。次回も期待してますよ、めーちゃん。
100: ◆MEIDO...W.:2011/10/26(水) 20:10:24 ID:hDHpJ5nbX.
>>99
ここまで読んでいただきありがとうございました。過度な期待はしないでくださいwww
101: ◆MEIDO...W.:2011/10/30(日) 16:26:24 ID:B9LLUanOto
誰もが忘れ、そろそろ保管庫に送られる頃に裏話的な者を書きに来てみた。
・四部構成と二部構成
>>2-28
>>29-51
>>53-72
>>78-97
本当は二部で終わらせるつもりだったんだけど、とある所でアンケートしたら、バッドエンドが良いとのことで、急遽四部まで書きました。
・バッドエンドでない理由
上で書いたように本来バッドエンドの予定でした。まあ、私がルート分岐をミスりました。意図的に。
ルート分岐シーン>>82
本当の予定ならば、ルーシーがここで死んでます。しかし、書いてるうちにルーシーに愛情的なものがわいちゃって、殺すに殺せませんでした。
ちなみに、バッドエンドルートは最終的にプリマリアとミシェルが森で一緒に暮らす予定でした。経緯は説明しません。ご自由に想像してください。
・>>1で書いたような首跳ねシーンなしな理由
バッドエンドルートでプリマリアに首跳ねをされる予定でした。
まあ、この位かな……読むのが遅かった方、たまたま気づいた方、やったねラッキー。
うん。ごめん。冗談。
では、また。
102: ◆MEIDO...W.:2011/10/30(日) 23:35:37 ID:AhKggD5OzY
名前:ミシェル・アンデルセン
二つ名:恐れを知らぬ者
性別:両性(見た目女)
種族:スライム
年齢:不明(見た目22歳)
身長:自由(基本168cm)
スリーサイズ:自在(基本貧)
長所:ほぼ不死身
短所:家事や掃除が苦手
知性:普通
特技:擬態
能力:姿形を自由に変える
容姿:薄い水色のロング、薄い肌色のワンピース、茶色の革靴
特徴:知性を持ったスライム。普通は人間に擬態しているため、スライムと気づく者はいない。
魔法の森近くの村でルーシーという人間の少女と雑貨屋を営んでいる。担当は主に店番と掃除。
ルーシーとはお隣さんどうして、食事はルーシーに賄ってもらっている。一応料理は出来るが、火を使う料理は苦手。
自分で疑問を持ちながら、自分で解決する事が多い。その間は口数が減る。
人を殺そうとすると、何かが頭の中で騒ぐらしい。
ルーシーはない。理由、なんでだろうね。私の中では珍しく設定なしで長く出たキャラだよ。作る気は……あるけど、作らない。だって完結しちゃったからね。
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停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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