注意
このスレには捕食、虐殺、首跳ねのようなグロ成分が含まれています。
直接的な表現は極力減らしていますが、苦手な人はすぐに戻ってください。
63: 名無しさん@読者の声:2011/10/17(月) 23:03:23 ID:BxAnhJXVdM
期待
64: ◆MEIDO...W.:2011/10/18(火) 09:27:31 ID:7eieR24plI
>>63
ありがとうございます。
朝、店に行くと店の前に馬車が止まっていた。何事かと思ったが、ルーシーが帰ってきたらしい。
「ああ、ミシェルさん。馬車に積んであるもの運ぶの手伝ってくれませんか?」
馬車を見てみると、座るところがないくらいに、物が詰まっていた。全部商品となるものだろう。
「こんなに買うお金がどこに……」
「聞きたいですか?」
「当然」
「運び終わったら教えます。はい、これ」
剣を五本渡された。一番初めに運んだものも剣五本だったが、これはかなり重い。多分素材が違うのだろう。全部運ぶとなるとかなり時間がかかるだろう。
65: ◆MEIDO...W.:2011/10/18(火) 09:28:05 ID:z/P1S2BebI
商品を全部運び終えたのは昼過ぎだった。倉庫に入りきらず、何個かそのまま店に並べることになった。
「お疲れ様です」
「早く教えてよ」
ルーシーはペリドットとマラカイトの売上金しか持って行かなかった筈なのに、それの倍以上あるだろう商品と馬車一台を買ってきた。いったいルーシーに何が起こったのだろうか。
「王都についてまず、クリスタルを五個買ったんです。お金は五万ほどしか残っていました。お土産を買っていこうと、王都をうろついていたら、カジノを見つけたんです。一万払ってやってみたら大当たりで。あれだけ買ってもお釣りが来るほどのお金が手には入ったわけです」
なんという強運だろうか。悪事に手を出したのかと、少し心配だったが、安心した。
66: ◆MEIDO...W.:2011/10/18(火) 23:46:15 ID:qjNS3bDJUo
「後、これを。お土産です」
ルーシーは赤い石がついたネックレスを差し出した。見た感じだとかなり高そうに見える。
「良いの?」
「ええ」
「ありがとう」
まさかこんな物をくれるなんて思っても見なかった。早速つけてみることにしよう。
67: ◆MEIDO...W.:2011/10/18(火) 23:46:23 ID:qjNS3bDJUo
「似合う……?」
「とっても」
誉められてなんとなく恥ずかしい。最近、プリマリアとか言う少女が来たり、擬態出来なくなったりとそれなりに嫌なことが続いていたから、なお嬉しい。
「あれ?ルーシーもつけてるの?」
ルーシーの首にもネックレスがかかっていたことに気づいた。色も同じ赤だった。
「お揃いのです。それにこれすごいんですよ」
ルーシーが石を握って、手を離すと、何かに引っ張られるかのように石が動いた。
「魔力をちょっと加えると、そっちにくっつこうとするんです。そっちでも同じです」
そんな物があるのかと、まじまじと自分の首に下がっている赤い石を見た。
「その石の名前は夫婦石。大切な人にあげるものです。その……」
ああなるほど。そう言う意味が込められているのか。赤い石から目を離して、ルーシーの顔を見てみると、少し頬が赤かった。
「これからも私と一緒にいてくれますか?」
ルーシーは言い切って、すぐに俯いてしまった。見ていると、なんとも可愛らしい。
「えっと……告白?」
「……そうです」
普段と比べると随分小さな声だったので、聞き逃しそうだった。まさか、同性から告白されるとは。私としては是非その思いに答えてあげたい。
「ルーシー……あなたの思い受け止める」
ルーシーにハグをして、優しく髪をなでながら、そう言った。顔は見えないが、ホッとしているのではないだろうか。
「でもね、これだけは聞いて。私にはあなたが想像しないような秘密があるの。今は話せないけど、それでも良い?」
「……はい」
「ありがとう」
ルーシーを強く抱きしめてから、離れた。すぐにルーシーは後ろを向いてしまったが、ルーシーの顔はまだ少し赤かった。
68: ◆MEIDO...W.:2011/10/19(水) 09:29:16 ID:kkv4gh8dE.
ルーシーに告白されたのはいつだろうか。もう、かなり時間が経った気がする。未だに、私の正体を話せていない。やはり、なかなか勇気が出ない。
話しても、受け入れられなかったら、私は居場所を失ってしまう。損得の問題ではないが、損の部分があまりにも大きすぎる。
しかし、最近、ルーシーが私の方を見て何かを考えているのを良く見る。ルーシーの為にもそろそろ話べきなのだろう。
69: ◆MEIDO...W.:2011/10/19(水) 09:29:38 ID:dvdpxsOS7k
「ルーシー……今日家に帰ったら話すよ……」
言ってしまった。もう後戻りは出来ない。私の中に勇気も無ければ後悔もない。あるのはこれから起こるであろう事への不安だけだった。
「……わかりました」
ルーシーは覚悟を決めたような顔で返答してきた。それを見て、少しだけ手が震えた。
その日はお互い店を閉めるまで話すことはなかった。
70: ◆MEIDO...W.:2011/10/19(水) 09:29:59 ID:kkv4gh8dE.
相手がいるのに会話のない食事というのはなんとも味気ない。しかし、これから大切な話をするのに何を話したらいいのだろうか。日常会話をするにも、いきなり天気の話をするわけにもいかないだろう。
そんなこんな考えているうちに、全て食べ終えてしまった。
71: ◆MEIDO...W.:2011/10/19(水) 09:30:51 ID:dvdpxsOS7k
「ルーシー、良く聞いて……」
テーブルの向かい側に座るルーシーは険しい表情をしていた。
「私は……」
後少しという所で言葉が出なくなった。次の言葉で全てを失うかもしれないという恐怖が言葉を止めている様にも感じた。
「私は……人間じゃない……」
一瞬、そんな感情をねじ伏せて、言葉を外に出してみると、何か吹っ切れたように感じた。ルーシーは声には出さなかったが、驚きがそのまま顔に現れていた。
「私はスライムなの……」
椅子から立ち上がり、ルーシーから私の全身が見える位置まで下がり、服を全部脱いだ。そして、少しずつ体の色を私の本来の色に戻していく。
72: ◆MEIDO...W.:2011/10/19(水) 09:30:58 ID:kkv4gh8dE.
体全体が半透明の青色に戻った。ルーシーは私の体を見ているだけで、何も言ってくれない。私はどうしたらいいんだろうか。
「私の生殺与奪の権はルーシーが持っているから、好きなように言ってほしい」
「確かに私の予想の斜め上を行ってましたね……」
ルーシーは険しい表情からうっすら優しさを感じ取れるような表情をしていた。
「種族が違ってもミシェルさんはミシェルさんじゃないですか。私は嫌悪感なんかより、むしろ知的好奇心みたいなものを感じますよ」
その言葉で、張りつめていた緊張の糸が切れたのか、足に力が入らなくなり、床に膝をついてしまった。さらに、涙まで溢れてきた。スライムには涙を流さないのかもしれないが、実際に目から水が出てるから涙だ。
「えっ!わ、私なんか変なこと言いました?」
「ただ嬉しくて……」
涙を拭くときにチラリとルーシーがホッとしている顔が見えたが、吹き終わったときには普段の顔をして、手を差し伸べてくれた。
「これからもよろしくお願いします」
「もちろん!」
私はしっかり手を握りしめ、立ち上がり、二人で笑った。
これからも私は私でいることが出来るようだ。
73: ◆MEIDO...W.:2011/10/19(水) 09:44:08 ID:dvdpxsOS7k
ここまで読んでくださった方がいるかはわかりませんが、一応
「私は私」を読んでいただきありがとうございました。「私は私」は『一応』完結です。
もう一度言いますが、『一応』完結です。
それでは、ありがとうございました。
74: 名無しさん@読者の声:2011/10/19(水) 12:52:22 ID:A44jxRf7zc
面白い
読んでますよーC
75: 名無しさん@読者の声:2011/10/19(水) 17:55:33 ID:Z/5gMg0gNA
続編きぼんぬ
76: 名無しさん@読者の声:2011/10/20(木) 00:25:49 ID:XKnEMUdELw
いつも支援してましたー
乙です!!
私も続編希望。
77: ◆MEIDO...W.:2011/10/20(木) 07:24:21 ID:weA6l9wvtU
>>74
ありがとうございます。
>>75
えっ、なんのことやら←
>>76
ありがとうございます。続編?何それ?美味しいの?←
続編は無いけど、私は私四部始めるよ!
一応sage進行ね!
78: ◆MEIDO...W.:2011/10/20(木) 07:26:12 ID:weA6l9wvtU
「お久しぶりね、皆さん。私の事覚えているかしら?『まともじゃない人間』でわかると良いんだけど。いかがだったかしら、今までの話は?一応はハッピーエンドなのかしらね?まあ、言いたいことは多々あると思うけど、物足りない気がしない?十分なら十分で良いけどね。ここから先に進めば、本当の結末までたどり着けるかもしれないわ。でも、世の中知らない方が良いこともあるわよ。ただ別のハッピーエンドにたどり着くかもしれないかもしれないし、とんでもないエンディングにたどり着くかもしれない。進みたいなら、ご自由に。じゃあ、私はこれで」
79: ◆MEIDO...W.:2011/10/20(木) 07:26:58 ID:weA6l9wvtU
日の出より早くに目が覚めた。雨だからわからないが、時間的には日の出前のはずだ。稀にあることだから、別に気にしないつもりだったのだが、何か嫌な予感がする。寝ている余裕もなさそうなので、さっさと着替えることにした。
日が昇った頃に雨は止んだが、やはり嫌な予感はまだ私の中にあった。それに、何かが足りない。視覚的には変化はないから、おそらく感覚的なものが足りない。
80: ◆MEIDO...W.:2011/10/21(金) 16:20:43 ID:C.YeTEqF1I
ルーシーが家にいなかった。日が昇ってからまだそれほど時間も経っていない。足りないものはスープの匂いだった。この時間にはもう作り始めているはずなのに。
また出かけるとも聞いていない。それに、家の中で僅かに血痕を見つけた。朝から感じていた嫌な予感はこれだったようだ。探そうにも、あまりにもヒントが無さ過ぎる。
そして、会いたくない奴に出会った。
81: ◆MEIDO...W.:2011/10/21(金) 16:21:05 ID:/4TxF8mZnI
「何しているの?」
怪しい場所にまともじゃない怪しい人間を足すと何か。簡単だ。容疑者だ。
「ルーシーはどこだ?」
「さあ?店じゃないのかしら?」
まず優先すべきはルーシーであり、こいつじゃない。言われた通りに店に急いで店に向かった。
82: ◆MEIDO...W.:2011/10/21(金) 16:21:28 ID:/4TxF8mZnI
店には鍵がかかっていた。人差し指を変形させて、強引に鍵を開けて、店に入った。店の中は薄暗くよく見えないが、中央に誰かが椅子に座っているのがわかる。ゆっくり近づいていくと、裸の女性が椅子に縛り付けられながら、うなだれていた。私はその女性を知っている。
「ルーシー……」
急いで縄をほどいて、商品の毛布でくるんで、床に寝かせた。所々に傷があるが、ちゃんと脈はある。
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