注意
このスレには捕食、虐殺、首跳ねのようなグロ成分が含まれています。
直接的な表現は極力減らしていますが、苦手な人はすぐに戻ってください。
37: ◆MEIDO...W.:2011/10/3(月) 20:09:37 ID:ZoYc6yK4vU
「ミシェルさーん」
声がした方を向いてみると、片手に数本の剣を抱えたルーシーが手を振っていた。大声を出すのが嫌だったので、近くまで行って話すことにした。
「なんで剣を?」
「私これでも道具屋の店主なんですよ。これは仕入れたばかりの剣です」
名前は覚えていないが、通りに道具屋が確かにあった。店に誰もいなかったので、不用心だなと覗いてみたが、品揃えはまあまあだろう。
「サンドイッチのお礼に持とうか?」
「じゃあ、半分お願いします」
五本の剣を持ってみると、何気に重い。それに、足に当たって非常に鬱陶しい。ルーシーを見習って、抱えるように運ぶことにした。
38: 名無しさん@読者の声:2011/10/3(月) 20:35:31 ID:OKTsxd6gOQ
しえん('∀'●)
39: ◆MEIDO...W.:2011/10/4(火) 22:53:14 ID:1h9cqhfM4c
>>38
ありがとうございます。
「ありがとうございました」
剣を運んだお礼にと運んだ剣の一本を無理矢理押し付けられた。これではいつまで経ってもお礼が返せそうにない。
「一人でやってるの?」
店の中には私とルーシーだけで、他に人がいる気配が全くしなかった。
「はい。元々父がやっていたんですが、数年前に他界してからは私が」
「お母さんは?」
「私を生んですぐに他界しました」
「ごめん……」
ちょっとした疑問を聞いたつまりが、全くちょっとしていなかった。
「良いんですよ」
そう言って、ルーシーは笑っているが、どこか悲しみというものを感じた。
40: ◆MEIDO...W.:2011/10/4(火) 22:54:08 ID:1h9cqhfM4c
「ねえ、私を雇ってくれない?」
「えっ?」
私の言葉を理解できなかったのか、ルーシーは目を白黒させていた。
「私もここで働きたいって言ってるの」
どうせ働くならば、知り合いがいる方が気が楽だと私は思う。その権利を得るかはルーシー次第なのだが。
「……明日まで考えさせてください」
「わかった。じゃあ、私はお先に」
押し付けられたら剣をこっそり返そうとしたが、結局バレて、しょうがなく持ち帰った。
41: ◆MEIDO...W.:2011/10/6(木) 21:01:13 ID:jR1JaAuaqs
家に帰って、壁に剣を立てかけてから、イスに座った。どうせならば、剣よりも本を譲ってほしかったが、わがまま言ってもしょうがない。
もう一度外に出ようかと思ったが、さっきほとんど見てきたがら新しい発見は見つからないだろう。
ならば食事をというと、まだ日が沈むまで小一時間ほどある微妙な時間であり、それに私は食材を持っていない。
ルーシーが帰ってくるのを大人しく待つとしよう。
42: ◆MEIDO...W.:2011/10/6(木) 21:02:20 ID:jR1JaAuaqs
「ごちそうさま」
「お粗末様です」
夕食のメニューはパン、サラダ、スープ、そしてハム。決して豪華ではないし、記憶にはあるが、私自身が見たことは無かったので、とても真新しかった。
「ミシェルさん」
ルーシーは食器を水を張った桶の中に沈めてから、真剣な顔で私の前に座った。
「明日までと言いましたが、今言います」
沈黙。こういう時は引き延ばさないで、さっさと言ってくれた方がありがたいのだが、なかなかそう言うわけにもいかないのだろう。
「明日からよろしくお願いします」
「ありがとう」
ルーシーが笑顔で手を伸ばしてきたが、私はそれを無視して、立ち上がり、不思議そうな顔をしているルーシーをバグした。
43: ◆MEIDO...W.:2011/10/8(土) 20:40:24 ID:WPw5dFjMQg
「うちは雑貨屋です。鍛冶屋や薬屋などから商品を仕入れて、それを売っています。店側との交渉はミシェルさんにはまだ無理ですから、しばらくはうちの店の事をやってもらいますね」
早口で説明される一つ一つの言葉をなんとか聞き取り、理解する事は出来たので、大きく頷いた。
「店でやることはそれほど難しくないです。店番、掃除、在庫の確認とかですから」
言われた事を小声で復唱した後、再び大きく頷いた。
「とりあえず、店については終わりです。今からはこれの話です」
そう言って、ルーシーは親指と人差し指で円を作った。
44: ◆MEIDO...W.:2011/10/8(土) 20:41:46 ID:WPw5dFjMQg
その後、しばらく給料論争になった。私が食事を恵んでくれるだけで良いと言うのに対して、ルーシーは食事と高額な賃金を払うと言い出した。普通は逆じゃないだろうか。
結局、食事と無難な金額の賃金で話はまとまった。怒鳴ったり、テーブルを叩いたりと、端からみたら、完全に喧嘩しているようにしか見えなかっただろう。
45: 名無しさん@読者の声:2011/10/9(日) 00:17:52 ID:TFnbaEpyyg
これからどうなるのか
支援
46: ◆MEIDO...W.:2011/10/9(日) 22:37:55 ID:gctR7TVIS.
>>45
ありがとうございます。実はとんでもない事になったりならなかったり。
私は今、初めてベットというものに横になっている。しばらくは地面に直接寝ていたが、ベットに横になってみると、よく眠れていたなと思ってしまう。
地面はゴツゴツしてひんやりしていたが、ベットは私の体重によって適度に沈みこんで私を受け止めてくれるし、なによりも暖かい。
だんだん眠くなってきた。どうせやることも無いから、そのまま眠ることにしよう。
47: ◆MEIDO...W.:2011/10/9(日) 22:39:03 ID:uLRV0pSTHM
「ありがとうございました。お気をつけて」
「あ、ありがとうございました」
客を見送った所に、小さな瓶がたくさん入ったかごを下げたルーシーが戻ってきた。
「おかえり。それは?」
「新商品の回復薬です。王都とかでは一般的らしいけど、ここは田舎だからなかなか作り方が伝わらなかったみたい」
並べられていく新商品とやらは、明るい緑色をしていた。なんとなく体に良さそうな色だが、もしこれが毒々しい緑色だったら、かなり気が引けただろう。
「たくさん売れると良いなー」
ルーシーは鼻歌交じりに、新商品を並べながらそう呟いた。おそらく利益が凄いのだろう。なんとなくわかる。
48: ◆MEIDO...W.:2011/10/11(火) 22:32:33 ID:YepzLr4ZbA
「そう言えば、何で客に冒険者が多いの?」
私は働き出したばかりだから、単なる偶然なのかもしれないが、今日だけで冒険者と思える人は三人来た。
「ああ、どうやら森の最深部には魔女がらしいんですよ。何故かは知りませんが、その魔女の首にはものすごい額の懸賞金がかかってるらしいです。まあ、あの森に懸賞首の魔女がいるなんて最近知ったんですがね」
つまりは金や名誉のために来ているのか。私が食べた人間達も確かに冒険者らしい身なりだった。
「こっちとしても利益が上がるから嬉しい限りです」
ルーシーは非常に嬉しそうに在庫を確認している。そのうちスキップしだすのではないだろうか。
その後、二人の客を迎えて、私の初仕事は無事終わった。期待の回復薬はまずまずの売れ行きだった。
49: ◆MEIDO...W.:2011/10/11(火) 22:33:40 ID:5V2pnSlcCU
私がルーシーの下で働き始めてからしばらく経ったある日。今日はルーシーが町の方にまで仕入れに行ったので、私一人に店を任されている。
いつの間にか淡い赤髪を短く切ったルーシーと同い年くらいの少女が店の中にいた。私が見逃したのだろうか、入ってくるのを見ていない。
「すいません、魔法鉱石ってありますか?」
魔法鉱石とは何だろう。鉱石はいくつかあったが、そんな名前は聞いたことがない。もしかしたら私が知らないだけで、ルーシーが仕入れているかもしれない。
「ちょっと待っててください」
在庫管理表を引っ張り出して、魔法鉱石という名称を探し始めた。
50: ◆MEIDO...W.:2011/10/14(金) 13:45:27 ID:2GHD9vlNoI
見つからない。数ヶ月分遡ってみたが、魔法鉱石の魔の字も出てこなかった。
「申し訳ありません。うちでは取り扱っていません」
「そう……また来ますね」
少女はそう言って店を出て行った。今度の時までには仕入れておく必要があるかもしれない。
それにしても、さっきの子は何か変だった。人間なのだが、人間じゃない。何か異質な雰囲気を感じた。まあ、私も人のことは言えないが。
51: ◆MEIDO...W.:2011/10/14(金) 13:48:05 ID:lKxfnCS9Cc
「魔法鉱石?」
町で良い仕入れが出来たらしくご機嫌なルーシーに魔法鉱石について聞いてみた。
「そ、今日買いたいって人がいたんだけど、私にはわからなかった」
「魔法鉱石としか言わなかったんですか?」
「たしかね」
「魔法鉱石は沢山あって、それだけじゃ良くわからないですよ」
その後、しばらく魔法鉱石について講義をされた。簡単に言うと、魔力を帯びた鉱石。うちの店にもペリドットとマラカイトとか言うのを扱っているらしい。売り上げはゼロだそうだ。
52: 名無しさん@読者の声:2011/10/15(土) 01:34:54 ID:xqOhDrHwDA
wktkしえん
53: ◆MEIDO...W.:2011/10/15(土) 21:16:07 ID:jvRom5VLAQ
>>52
ありがとうございます
いつもの時間に店を閉め、いつものようにルーシーの家にお邪魔する。そして、いつものように夕食の準備を手伝って、いつものようにイスに座って夕食の完成を待つ。いつものように美味しそうな料理が出てくる。しかし、いつものように美味しくいただけなかった。
私の右手の小指が青く、そして粘り気のある液体に戻っているのが目に入った。しかも、だんだん他の指まで元に戻っている。
「ル、ルーシー……私、どうしても家でやらないといけないことを思い出したの。だから、ちょっと帰るね」
「えっ?そう……」
ルーシーは不思議そうな顔をしてこちらを見ているが、今は見てほしくない。親指まで青くなり始めた。
「あ、ちょっと待って!」
立ち上がって、帰ろうとしたときにいきなり大声で話しかけないでもらいたい。かなりびっくりしてしまった。
「夕食、家で食べてください。お腹空いちゃうから」
「あ、ああ。皿ごと持って行っても良い?」
「どうぞ」
私はメインディッシュの魚が乗った皿にパンも乗せて、左手で皿を持ち上げた。
「それじゃ、また明日」
「さようなら」
右手で扉を開けて、ルーシーの家から脱出した。
54: ◆MEIDO...W.:2011/10/15(土) 21:17:04 ID:trx0HkZN.I
家に帰って、まずはドアに鍵をかける。夕食をテーブルに置いて、もう一度落ち着いて、手を見てみる。やはり、青い。私の右手が完全に元に戻っている。左手もだんだん戻り始めた。それどころか、形の維持が出来なくなってきた。身につけているものを手がまだ使えるうちに脱いで、急いで寝室に移動する。
これは何かの病気だろうか。考えている間も体は戻っていく。手だけではなく足も戻り始めたので、今はベットに横になっている。戻った所は自由に操れるが、擬態が出来なくなっているようだ。考えていると、あることを思い出したので、ベットから起き上がって、床を張って窓まで移動する。
55: ◆MEIDO...W.:2011/10/15(土) 22:46:52 ID:5V2pnSlcCU
「やっぱり……今日は新月だ……」
月は魔物の魔力に影響を与えるらしく、月が見えない新月には一斉に弱体化すると聞いたことがある。つまりは、私のこれは病気でも何でもなく、新月に夜もののようだ。
原因がわかって安心したので、ベットに戻って寝ようとしたが、完全に手足を失ったので、床を這うことが出来なくなってしまった。カーテンを触腕で閉めた後、自分の体を乗せてベットまで移動した。
56: ◆MEIDO...W.:2011/10/15(土) 22:47:35 ID:YepzLr4ZbA
朝起きて、真っ先に体を元に戻す。本当に戻れるのかと少し不安だったが、なんとか戻ることが出来た。これからは新月の日をあらかじめ知っておく必要があるだろう。
昨日食べなかった夕食を食べ終えて、服を着ていないことに気づいた。服を着て、皿を持って、ルーシーの家に向かった。
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