注意
このスレには捕食、虐殺、首跳ねのようなグロ成分が含まれています。
直接的な表現は極力減らしていますが、苦手な人はすぐに戻ってください。
31: 名無しさん@読者の声:2011/9/29(木) 16:43:02 ID:4b4SDuYzXc
文の書き方が好き
C
32: ◆MEIDO...W.:2011/9/30(金) 19:39:40 ID:C0YOy.2UQk
>>31
一人称形式はまだ勉強中です。ありがとうございます。
「お前さんはどこからきたんじゃ?」
「覚えてません……」
私は今村長と呼ばれている老婆に色々聞かれている。不思議なことに、最初の方に聞かれるであろう名前を未だに聞かれていない。
「ふむ……名前は?名前は覚えているかね?」
「ミシェル。ミシェル・アンデルセン。これだけははっきりとわかります」
しばらくの沈黙。もしかして、変なことを言ってしまったのだろうか。
「……お前さんは記憶喪失という奴だろう。もし良かったら、ここにしばらく住んでみるのは」
「お願いします」
私が一番欲しかった答えを得ることが出来た。馴染むための一歩目というのにちょうど良いだろう。
33: ◆MEIDO...W.:2011/9/30(金) 19:40:45 ID:t6uracRKfM
部屋を貸してくれるのかと思っていたら、まさか家をまるごと貸してくれるとは。
危険はあるかもしれないが、誰かと一緒に暮らす方が寂しさが減るから、私としては部屋を借りる方が良かった。
わがまま言うのは失礼だが、これはわがままなのだろうか?まあ良い。文句を言う暇があるなら、新しい生活に慣れるとしよう。
34: ◆MEIDO...W.:2011/10/1(土) 20:40:01 ID:gctR7TVIS.
女性の下着や服をもらったのは良いのだが、やはり張り付くのが嫌でしょうがない。
スライムは本来、体全体で呼吸しているから、そういう事が、私に嫌悪感を持たせるのだろう。
かと言って、裸で生活するというのはただの変質者でしかない。そんなことになったらとてもここにはいられなくなってしまう。大人しく着るとしよう。
35: ◆MEIDO...W.:2011/10/1(土) 20:41:12 ID:gctR7TVIS.
着替えが終わって、何をしようかと考えていると、ドアを叩く音が聞こえた。すぐに出てみると、私の体を拭いてくれた少女が立っていた。
「あ、こんにちは」
「こんにちは……」
「私隣に住んでいるルーシーです。ミシェルさん服も着てなかったから、お金持ってないですよね?もし良かったら、これ食べてください。言ってくれれば、しばらくはおすそ分けしますよ。あ、バスケットは後で取りに来ます。それでは」
ルーシーが早口で何かを言っていると思ったら、いつの間にかバスケットを渡され、いつの間にか消えていた。なんという早業だろうか。バスケットの中にはサンドイッチが二つ入っていたので、ありがたくいただいた。
こんな私でも味覚は存在する。サンドイッチは簡素だったが、とても美味しかった。
36: ◆MEIDO...W.:2011/10/3(月) 20:08:29 ID:ZoYc6yK4vU
どうせやることもないので村を歩き回る事にした。
これからはお金が必要になるから、どこかで働かないといけないな。などと考えながら特に当てもなく歩いていると、森にたどり着いた。
働かなくても、以前と変わらず森で狩りをするのも良いかもしれない。しかし、それではせっかく人里にいる意味がない。そう思って、森を後にした。
37: ◆MEIDO...W.:2011/10/3(月) 20:09:37 ID:ZoYc6yK4vU
「ミシェルさーん」
声がした方を向いてみると、片手に数本の剣を抱えたルーシーが手を振っていた。大声を出すのが嫌だったので、近くまで行って話すことにした。
「なんで剣を?」
「私これでも道具屋の店主なんですよ。これは仕入れたばかりの剣です」
名前は覚えていないが、通りに道具屋が確かにあった。店に誰もいなかったので、不用心だなと覗いてみたが、品揃えはまあまあだろう。
「サンドイッチのお礼に持とうか?」
「じゃあ、半分お願いします」
五本の剣を持ってみると、何気に重い。それに、足に当たって非常に鬱陶しい。ルーシーを見習って、抱えるように運ぶことにした。
38: 名無しさん@読者の声:2011/10/3(月) 20:35:31 ID:OKTsxd6gOQ
しえん('∀'●)
39: ◆MEIDO...W.:2011/10/4(火) 22:53:14 ID:1h9cqhfM4c
>>38
ありがとうございます。
「ありがとうございました」
剣を運んだお礼にと運んだ剣の一本を無理矢理押し付けられた。これではいつまで経ってもお礼が返せそうにない。
「一人でやってるの?」
店の中には私とルーシーだけで、他に人がいる気配が全くしなかった。
「はい。元々父がやっていたんですが、数年前に他界してからは私が」
「お母さんは?」
「私を生んですぐに他界しました」
「ごめん……」
ちょっとした疑問を聞いたつまりが、全くちょっとしていなかった。
「良いんですよ」
そう言って、ルーシーは笑っているが、どこか悲しみというものを感じた。
40: ◆MEIDO...W.:2011/10/4(火) 22:54:08 ID:1h9cqhfM4c
「ねえ、私を雇ってくれない?」
「えっ?」
私の言葉を理解できなかったのか、ルーシーは目を白黒させていた。
「私もここで働きたいって言ってるの」
どうせ働くならば、知り合いがいる方が気が楽だと私は思う。その権利を得るかはルーシー次第なのだが。
「……明日まで考えさせてください」
「わかった。じゃあ、私はお先に」
押し付けられたら剣をこっそり返そうとしたが、結局バレて、しょうがなく持ち帰った。
41: ◆MEIDO...W.:2011/10/6(木) 21:01:13 ID:jR1JaAuaqs
家に帰って、壁に剣を立てかけてから、イスに座った。どうせならば、剣よりも本を譲ってほしかったが、わがまま言ってもしょうがない。
もう一度外に出ようかと思ったが、さっきほとんど見てきたがら新しい発見は見つからないだろう。
ならば食事をというと、まだ日が沈むまで小一時間ほどある微妙な時間であり、それに私は食材を持っていない。
ルーシーが帰ってくるのを大人しく待つとしよう。
42: ◆MEIDO...W.:2011/10/6(木) 21:02:20 ID:jR1JaAuaqs
「ごちそうさま」
「お粗末様です」
夕食のメニューはパン、サラダ、スープ、そしてハム。決して豪華ではないし、記憶にはあるが、私自身が見たことは無かったので、とても真新しかった。
「ミシェルさん」
ルーシーは食器を水を張った桶の中に沈めてから、真剣な顔で私の前に座った。
「明日までと言いましたが、今言います」
沈黙。こういう時は引き延ばさないで、さっさと言ってくれた方がありがたいのだが、なかなかそう言うわけにもいかないのだろう。
「明日からよろしくお願いします」
「ありがとう」
ルーシーが笑顔で手を伸ばしてきたが、私はそれを無視して、立ち上がり、不思議そうな顔をしているルーシーをバグした。
43: ◆MEIDO...W.:2011/10/8(土) 20:40:24 ID:WPw5dFjMQg
「うちは雑貨屋です。鍛冶屋や薬屋などから商品を仕入れて、それを売っています。店側との交渉はミシェルさんにはまだ無理ですから、しばらくはうちの店の事をやってもらいますね」
早口で説明される一つ一つの言葉をなんとか聞き取り、理解する事は出来たので、大きく頷いた。
「店でやることはそれほど難しくないです。店番、掃除、在庫の確認とかですから」
言われた事を小声で復唱した後、再び大きく頷いた。
「とりあえず、店については終わりです。今からはこれの話です」
そう言って、ルーシーは親指と人差し指で円を作った。
44: ◆MEIDO...W.:2011/10/8(土) 20:41:46 ID:WPw5dFjMQg
その後、しばらく給料論争になった。私が食事を恵んでくれるだけで良いと言うのに対して、ルーシーは食事と高額な賃金を払うと言い出した。普通は逆じゃないだろうか。
結局、食事と無難な金額の賃金で話はまとまった。怒鳴ったり、テーブルを叩いたりと、端からみたら、完全に喧嘩しているようにしか見えなかっただろう。
45: 名無しさん@読者の声:2011/10/9(日) 00:17:52 ID:TFnbaEpyyg
これからどうなるのか
支援
46: ◆MEIDO...W.:2011/10/9(日) 22:37:55 ID:gctR7TVIS.
>>45
ありがとうございます。実はとんでもない事になったりならなかったり。
私は今、初めてベットというものに横になっている。しばらくは地面に直接寝ていたが、ベットに横になってみると、よく眠れていたなと思ってしまう。
地面はゴツゴツしてひんやりしていたが、ベットは私の体重によって適度に沈みこんで私を受け止めてくれるし、なによりも暖かい。
だんだん眠くなってきた。どうせやることも無いから、そのまま眠ることにしよう。
47: ◆MEIDO...W.:2011/10/9(日) 22:39:03 ID:uLRV0pSTHM
「ありがとうございました。お気をつけて」
「あ、ありがとうございました」
客を見送った所に、小さな瓶がたくさん入ったかごを下げたルーシーが戻ってきた。
「おかえり。それは?」
「新商品の回復薬です。王都とかでは一般的らしいけど、ここは田舎だからなかなか作り方が伝わらなかったみたい」
並べられていく新商品とやらは、明るい緑色をしていた。なんとなく体に良さそうな色だが、もしこれが毒々しい緑色だったら、かなり気が引けただろう。
「たくさん売れると良いなー」
ルーシーは鼻歌交じりに、新商品を並べながらそう呟いた。おそらく利益が凄いのだろう。なんとなくわかる。
48: ◆MEIDO...W.:2011/10/11(火) 22:32:33 ID:YepzLr4ZbA
「そう言えば、何で客に冒険者が多いの?」
私は働き出したばかりだから、単なる偶然なのかもしれないが、今日だけで冒険者と思える人は三人来た。
「ああ、どうやら森の最深部には魔女がらしいんですよ。何故かは知りませんが、その魔女の首にはものすごい額の懸賞金がかかってるらしいです。まあ、あの森に懸賞首の魔女がいるなんて最近知ったんですがね」
つまりは金や名誉のために来ているのか。私が食べた人間達も確かに冒険者らしい身なりだった。
「こっちとしても利益が上がるから嬉しい限りです」
ルーシーは非常に嬉しそうに在庫を確認している。そのうちスキップしだすのではないだろうか。
その後、二人の客を迎えて、私の初仕事は無事終わった。期待の回復薬はまずまずの売れ行きだった。
49: ◆MEIDO...W.:2011/10/11(火) 22:33:40 ID:5V2pnSlcCU
私がルーシーの下で働き始めてからしばらく経ったある日。今日はルーシーが町の方にまで仕入れに行ったので、私一人に店を任されている。
いつの間にか淡い赤髪を短く切ったルーシーと同い年くらいの少女が店の中にいた。私が見逃したのだろうか、入ってくるのを見ていない。
「すいません、魔法鉱石ってありますか?」
魔法鉱石とは何だろう。鉱石はいくつかあったが、そんな名前は聞いたことがない。もしかしたら私が知らないだけで、ルーシーが仕入れているかもしれない。
「ちょっと待っててください」
在庫管理表を引っ張り出して、魔法鉱石という名称を探し始めた。
50: ◆MEIDO...W.:2011/10/14(金) 13:45:27 ID:2GHD9vlNoI
見つからない。数ヶ月分遡ってみたが、魔法鉱石の魔の字も出てこなかった。
「申し訳ありません。うちでは取り扱っていません」
「そう……また来ますね」
少女はそう言って店を出て行った。今度の時までには仕入れておく必要があるかもしれない。
それにしても、さっきの子は何か変だった。人間なのだが、人間じゃない。何か異質な雰囲気を感じた。まあ、私も人のことは言えないが。
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