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ちょっと過去話に付き合ってほしい。

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Part2
67 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 01:14:41.65 ID:zEEsm5BO0
次の日は月曜日。
学校に行くと教室が静かだった。
どうやらサキが事故にあったことが知れ渡ったらしい。
真っ先に主将が来て「大丈夫か?」と声を掛けてくれた。
一番後ろの席でKがすすり泣いている。
クラスの女子も集まってきて
「容態はどうだったか」とか「サキちゃん大丈夫なの?」
だの質問してきたが何も答えられなかった。
どうやら、その事が深刻だと伝える結果になったらしく、
クラスが一気に騒ぎだした。

69 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 01:18:25.07 ID:zEEsm5BO0
「お見舞いいこう!」
だの
「千羽鶴おろう!」
とか発言しだすグループ。
泣き始める女の子を慰めるグループ。
ただ騒ぐ男子グループ。
その中でKがいきなり怒鳴りだした。
「お前が悪いんだ!お前のせいだ!」
そういってKが指差す先には俺が居た。
俺の中で何かが壊れた。

70 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 01:24:37.88 ID:zEEsm5BO0
教室が再び静まりかえった。
俺が、カッコつけて試合出ようなんて考えなかったら・・・
俺が、卵焼きが好きだなんておばさんに伝えなかったら・・・
俺が、サキにお弁当を作ってもらったりしなければ・・・
おれが、さきをすきになったりしなければ・・・
女子がKを非難してる。
主将がKに掴みかかっている。
囃し立てる男子の声が聞こえる。
騒ぎを聞きつけて担任が教室に入ってきた時、俺は激しく嘔吐した。

72 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 01:28:59.91 ID:zEEsm5BO0
担任に連れられ、保健室に連れて行かれた事までは覚えているが
その日、どのように過ごしたのかは覚えていない。
放課後、迎えに来た母親がまたサキの見舞いに病院に連れて行ってくれたが
そのときはサキの病室に近づく事が出来なかった。
担任から一部始終を聞いた母は必死に「あんたの責任じゃない」
と言いサキの両親もそう励ましてくれたが全く届かなかった。

74 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 01:34:04.93 ID:zEEsm5BO0
次の日から学校を休んだ。
お見舞い以外は家からも出なくなった。
周りの全員が「お前のせいだ」
と非難しているような感覚に襲われだした。
母や姉が毎日のように掛ける励ましの言葉も嫌味にしか聞こえなくなった。


76 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 01:41:29.51 ID:zEEsm5BO0
食事にもあまり手をつけなくなった。
一日中、布団の中で過ごし見舞いのときだけ部屋から出る。
そんな感じ。
サキは変わらず危険な状態だったが、一応おちついては来たらしく
回復の兆しが僅かだが見えてきたと医者が言っていた
と伝えられた時、少しホッとした

78 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 01:46:32.02 ID:zEEsm5BO0
しばらくしてサキは集中治療室から一般病棟に移った。
一ヶ月半ぶりに見た彼女に笑顔は無かった。
手を握るが反応は無い。
ただ眠っているだけの彼女にもう一度
「弁当ありがとう。おいしかったよ」
と伝えた。
面会を終え、病院を出た後激しい自己嫌悪に襲われた
彼女をあんな目に合わせたのは自分だとの苛立ちが強くなってきた。

81 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 01:52:56.24 ID:zEEsm5BO0
それからも、引きこもりの生活は続いた。
その頃はただ彼女の見舞いに行くために生きているような状態だった。
そんな俺を見かねた父方の祖父が家を訪れた。
俺の両親は俺がまだ物心つく前に離婚しており、現在は母の実家にすんでいる。
父親は年に1〜2回会えばいいぐらい会っていないが、祖父は俺と姉を大変可愛がってくれ
運動会を見に来たり、お盆には迎えに来て祖父の家で過ごしたりしており、じいちゃんが俺は大好きだった。

83 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 01:56:53.16 ID:zEEsm5BO0
じいちゃんは、俺の部屋に来て俺を見ると何も言わずに俺を部屋から引っ張りだした。
かなり激しく抵抗した。
じいちゃんは俺に叩かれ、蹴られそれでも怒らず俺をなだめながら車に乗せた。
車に乗せられ連れて行かれたのはじいちゃんの家だった。
この時もかなり罵声を浴びせたと思う。
でもじいちゃんは
うん、うん。
と頷き、何も言わなかった。

85 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 01:59:21.66 ID:zEEsm5BO0
家ではばあちゃんが晩飯の用意をしていた。
ばあちゃんは俺を見て
「おかえり」
と一言だけ言って晩飯の準備を続けた。
きっと、最初からつれてくる心算だったのだろう。
晩飯は3人分用意されてた。

86 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:03:28.75 ID:zEEsm5BO0
ばあちゃんがご飯を茶碗に盛り差し出すが
「いらない」
と受け取らなかった。
ばあちゃんは黙って茶碗を俺の前においた。
結局ご飯は食べなかった。

87 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:10:22.27 ID:zEEsm5BO0
次の日の朝早くじいちゃんに起こされた。
「仕事手伝わないか」
じいちゃんちは農家だからその手伝いをしろと言う事らしい。
その時もかなり怒鳴りつけた。
「勝手に連れて来ておいて何言ってるんだ!」
とか
「家に帰せ!」
だの喚き散らした。
じいちゃんは一言も反論せず
「ちょっと手伝ってくれんかい?」
とだけ言った。
渋々、手伝いをした。

89 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:14:30.39 ID:zEEsm5BO0
手伝いが終わるととてつもない疲労感が襲ってきた。
この頃ろくに食事もしてなかったから当然だが。
ばあちゃんが朝ごはんを用意して待っていた。
お茶碗を黙って目の前においた。
そして、卵焼き。
それを見た瞬間ボロボロ涙が出てきた。
今まで我慢していたのに、涙が溢れ出してきた。

92 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:18:47.22 ID:zEEsm5BO0
「じいちゃん達な、何があったか大体聞いた。我慢してたんやな。俺君は我慢する子やから」
じいちゃんはそういって頭をなでてくれた。
ばあちゃんは
「さぁ、食べなさい。ちゃんと食べんといけん」
といい微笑んでくれた。
ご飯を食べるたびに涙がこぼれた。

95 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:24:01.66 ID:zEEsm5BO0
ご飯をたべ終わると一気に気が緩んだのか眠ってしまった。
夢の中でまたサキと一緒にいた。
彼女は笑っていた。大好きだったあの笑顔で。
目を覚ましたらまた俺は泣いていた。
じいちゃんに
「お見舞いに行きたい。」
と伝えると
「わかった。」
と微笑んでくれた。

97 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:29:10.02 ID:zEEsm5BO0
出発前、ばあちゃんが俺を抱いて
「何でも抱え込んだらいけん。誰のせいとかどうすれば良かったとか無い
んよ、これから先でどうしないといけんか、どうしたいかだけ考えなさい。」
と言い聞かせてくれた。
この言葉が、今でも俺の心にしっかりと根をはって支えてくれている。

98 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:39:22.59 ID:zEEsm5BO0
病院に向かう車の中
じいちゃんはいろんな話をしてくれた
戦争体験者のじいちゃんは戦時中のとき
親友に頼まれて部隊配置を代わったらしい。
結果、代わった先が爆弾の直撃を受けてしまったと。
何故あの時交代したのか、当時は散々悔やんだと。
「でもな、過ぎた事を悔やんで引っ張っても底は来ないんよ。
悔いるよりも成すべきことを成さな。」
同じように悔やみきれない事があったと言うじいちゃんの言葉。
誰の励ましよりもあったかかった

99 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:42:55.58 ID:zEEsm5BO0
病院に顔出したとき、担任の先生がいた。
すごく心配そうな顔をして駆け寄ってきたが
「もう大丈夫です」
と伝えると
「声でわかるよ。良かった。」
と言ってくれた。
サキに会った。
たった2日来なかっただけなのにすごく久しぶりに思えた。

100 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:47:25.72 ID:zEEsm5BO0
病室の中には千羽鶴や花が飾られていた。
昨日、クラスの子が持ってきたらしい。
サキの両親も居た。
俺に笑顔を向けてくれた。
サキの手を握ると反応は無いが体温がしっかりと伝わってきた。

101 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:52:16.56 ID:zEEsm5BO0
帰りがけにサキ母から声を掛けられた。
「昨日、先生が今は大分状態は良くなっている。いつ目を覚ますか判らないけど
声は聞こえるから声を掛けてあげてって。だから俺君、サキを励ましてあげてね。」
と言われた。
俺が大きく頷くとサキ母はなんども
「ありがとう」
と言った。
本当は俺が言いたかった言葉だった。


103 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 02:57:21.41 ID:zEEsm5BO0
次の日から俺は学校に行きだした。
最初はクラスメイトから心配のまなざしを向けられたのが辛かったが
すぐにそれは無くなった。
相変わらず、敵意の目をKは向けてくるが
あの日以来、Kはクラスで浮いてしまったらしく、
教室の隅で一人で居る事が多かった。
H(主将)は今までの勉強の所を教えてくれたり、
数日の間フォローしてくれたりと動き回ってくれた。
そして、月が代わり12月になった。

105 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:01:51.54 ID:zEEsm5BO0
12月24日は彼女の誕生日。
俺はその年もプレゼントを2つ用意した。
クリスマスプレゼントと誕生日プレゼント。
散々悩んだ挙句、CDコンポとCDアルバムを贈ることにした。
聞こえると言っていたから。
お年玉貯金などを使い果たし、購入した2つをもって病室へ。
去年は喜ぶ顔を見せてくれた。
今年は寝たままの彼女。

106 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:04:37.59 ID:zEEsm5BO0
CDをかける。
誕生日おめでとうとサキの両親と妹たちが言う。
「おめでとう。今年はこれ持ってきたから」
そういうと、少し血圧があがった。
「喜んでるw」
とサキ母が言う。少し照れくさくなった。

107 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:09:54.76 ID:zEEsm5BO0
その年は大晦日も正月も彼女の病室で過ごした。
2月の終わりになると最初はもう駄目だといわれていた彼女も持ち直し
医者ももう危険域は抜けたと診断を下した。
そして、俺は小学校の卒業式を迎えた。

108 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:13:00.90 ID:zEEsm5BO0
サキは卒業式に出られなかったが、卒業証書を持って行き
「卒業おめでとう」
と言うとまた血圧があがった。
そして俺は中学生になった。
けど
安息できる日は長くなかった。

109 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:16:52.27 ID:zEEsm5BO0
中学に入りクラス分けがされると
そのクラスには同じ小学校の出身者は
H、N子、L美、そしてKとなった。
Hは「お、またよろしくな!」
といってくれた。
Kはあれ以来話しをしていないが、今はこちらを睨み付ける事はなくなっていた。
中学では新しい友達グループを作ったらしい。

110 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:18:56.64 ID:zEEsm5BO0
入学式から一ヶ月ほどたった4月の終わり
サキが目を覚ましたと連絡を受け俺は教室を飛び出した。

111 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:23:14.77 ID:zEEsm5BO0
授業中にもかかわらず、教室に入ってきた母にも驚いたが
それよりも何よりも
目を覚ました と言う報告が嬉しかった。
授業担当の先生が何か言ってたが良くわからない。
ただHの
「早く行け!」
という声がしっかり届いた。

113 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:28:06.34 ID:zEEsm5BO0
病院に着くと、サキの両親、祖父母、妹達が笑顔で迎えてくれた。
ベッドのサキと視線が合った。
どう声をかけようかあわあわしてると
「ちょっと、変わりすぎ?」
と掠れた声でサキが言った。
俺は病院中に響くくらい泣いた。

117 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:31:53.64 ID:zEEsm5BO0
その後、サキの手を握り、握り返してくれた事でまた泣き、
お弁当の事を伝えては泣き、
こんなに人は泣けるんだというくらい泣いた。
サキはそんな俺を見て笑っていた。
少しやつれてしまって居たが、ずっと見たかった笑顔だった。

120 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:35:35.53 ID:zEEsm5BO0
それから一週間。
俺は大いに学校をサボった。
毎日朝、バスに乗り病院へ行き、一日中サキと話した。
今までの分一気に話しつくすように。
幸せな気分で一杯だった。

122 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:38:30.17 ID:zEEsm5BO0
事はその半月後に起こった。
俺が教室を飛び出して、一週間サボったあと久しぶりに学校へ行くと
教室の空気が違った。
Hは「良かったな!」
と声をかけてきていつもと変わらなかったが
他の空気は違った。

123 名前:usH3wxSS0 ◆veX80jB2Qs :[] 投稿日2009/12/11(金) 03:40:31.43 ID:zEEsm5BO0
そして昼休みの時間。
別のクラスの全く知らない不良っぽい奴にいきなり声を掛けられた。
「お前、人殺しかけたんだって?」
俺は何がなんだかわからなかった。

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