ぼっちだったから夏休みはホームレスと飯食ってた
Part3
223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 15:57:08.44 ID:flZ1wfTAO
今起きました!
落ちてると思ってたのでびっくり
保守ありがとうございます
では相変わらず遅いですが
のんびりお付き合いください
224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 15:59:04.01 ID:Qtg32AL+O
きたか
225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 15:59:47.85 ID:YDR8eqZz0
キタ━━━━━━(・∀・)━━━━━━!!!!
226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:01:34.83 ID:egP0Y+gHO
おはようさあ続きを
227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:01:55.76 ID:tvvFNhBr0
気になるー
228 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:03:42.71 ID:ygZXyp9hO
キター
229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:04:06.61 ID:dhXuknseO
やた!
230 : 忍法帖【Lv=29,xxxPT】 :2011/09/01(木) 16:04:07.57 ID:OjYc4xJR0
キタワァ
233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:09:43.51 ID:flZ1wfTAO
おっさんには家族の話はしたことがなかった
そしてするつもりもなかった
今思えば大人相手に気にすることもなかったのかもしれないけど
元々家庭の事情によってぼっちへと導かれてきた俺には
この話題は何が何でも言いたくなかった
だからおっさんは俺に父が居ないなんて
全く知らなかったはずなんだけど
察してくれたのだろうか
ピチピチのポロシャツと丈の短いズボンに身を包んだおっさんは
それ以上何も言ってはこなかった
そしていざ遊園地へ
237 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:20:55.70 ID:flZ1wfTAO
電車に揺られること小一時間
途中で乗り換えに失敗して責任のなすり付け合いをしながらも
どうにかこうにか遊園地に到着した
おっさん「大人1枚とガキ1枚」
俺「ガキなんて券売ってへんで」
おっさん「アホォ。子供って書いてガキって読むんじゃ」
俺「じゃあ大人って書いておっさんって読むんかー」
おっさん「うわっ、憎そいのー」
俺「すいませーん!おっさん1枚とガキ1枚くださーい!」
そして無事チケットを入手し中へ入ると
そこはもう俺にとっては夢の国だった
今みたいに凝ったアトラクションがあるわけでも
ましてやネズミがいるわけでもなかったけど
豪華な電飾に彩られた世界に俺は大興奮したのを覚えている
238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:26:11.26 ID:Kvkjjhvv0
なんかほっこりするな
240 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:27:19.20 ID:h3TWIS510
おれはこの後のもっこり展開に期待している
242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:31:19.33 ID:flZ1wfTAO
首が痛くなるくらい周りをぐるぐると見渡しながら歩いてると
まず目に入ってきたのはこれだった
俺「おっさん!おっさん!」
おっさん「何や便所か?早いのー」
俺「ちゃうわ!ほら、あれ乗ろうや!」
おっさん「んー?どれやねん」
俺「あの飛行機みたいなやつ」
おっさん「紐でブンブン回されてるやつか?」
俺「そうそう!」
おっさん「うわぁ…」
今でも正式名はわからないけど
デカい円柱の上ほうからワイヤーが吊してあって
その先に飛行機がくっついてて円柱が回転すると
遠心力的なもので飛行機が結構なスピードでブンブン回るやつ
おわかりいただけるだろうか?
243 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:33:52.02 ID:YDR8eqZz0
うわー地元の小さな遊園地なんだな
244 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:42:23.55 ID:nSYIyr/J0
分かるよ
245 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:43:06.92 ID:flZ1wfTAO
おっさんは明らかに嫌そうな顔をした
おっさん「あれめっちゃ怖そうやん…」
俺「なんで?楽しそうやん!空飛んでるみたいやん!」
おっさん「お前なぁ、あの紐取れてほんまに飛んで行ったらどないすんねん」
俺「え…?あれ取れるん?」
おっさん「紐つけてんやったら紐取れることだってあるやろ」
俺「ほんならおっさん一回乗って確認してきてや」
おっさん「しばくぞボケ」
俺は嫌がるおっさんの手を引いて何とか乗ることに成功した
一人乗り用だったので乗ってる最中におっさんがどんな顔してたかはわからないけど
終わって飛行機が停止しても
しばらくおっさんは座ったまま口半開き状態だった
246 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:51:48.78 ID:flZ1wfTAO
そんなおっさんを引きずり俺は止まることなく遊びまくった
メリーゴーランドはとにかく派手で本に出てくるお菓子の家みたいな印象だった
お化け屋敷はおっさんと手を繋ぎながら入った
めちゃくちゃ怖かったけど俺の手を引くおっさんの歩くスピードも
なかなか怖かった記憶がある
小さな線路を走る汽車にも乗ったし
水上をペダル漕ぎながら進むのも楽しかった
そうこうしてるうちに腹が減ったので
近くにあったベンチで弁当を食うことにした
247 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:54:10.76 ID:GcDKo98p0
お化け屋敷でおっさんが抱きついてくるハプニングはなかったのか
248 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:54:30.40 ID:dpJ3476W0
こういう話はやっぱおっさんが似合うな
近所のお兄さんお姉さんおばさんだとこうは似合わない
おっさんが持つ不思議な魅力だな
249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:55:26.01 ID:S8QykrVnO
いくらバイトをしたとはいえオッサンの財布が心配になるな
250 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:04:52.76 ID:xo/g0KEQ0
既に切なさ全開だわ
251 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:04:58.25 ID:flZ1wfTAO
おっさんは俺が弁当を持ってきたことを言うと
ちょっとびっくりしてた
おっさん「こんな時にまで作ってきたんか」
俺「こんな時やからやん。遠足に弁当持ってこん奴なんかおらんで」
おっさん「まぁせやけど…今日くらい外でなんか食わしたったのによ」
俺「ホームレスのくせにお金あるん?」
おっさん「アホ、ホームレスは家は無いけど金は意外と持ってたりするもんやねん」
俺「へーそうやったんや。じゃあおっさんの分も俺食うわ」
おっさん「いやいやいや!食いますやんか兄さん!」
おっさんは相変わらずのノリで弁当食ってたけど
俺はホームレスのおっさんに
遊園地に連れて来てくれる金があるとは思えなかった
チケットを買う時ですら子供ながらにヒヤヒヤしていたぐらいだ
だからおっさんの発言を聞いて俺は内心ホッとした
(そうか…ホームレスもお金持ってるんやなぁ…)
もちろんバイトで稼いでたのは言うまでもなかった
254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:15:28.51 ID:flZ1wfTAO
飯を食い終わってから広場に行ってヌイグルミが踊るショーを見たり
また飛行機に乗っておっさんが白目剥いたりして
とにかくこれでもかと言うくらい遊びまくった
そして時間的に次が最後だと言われると
俺は迷いなく観覧車を指差した
またお決まりなカンジだけど
来た当初にあれは最後に乗るものだとおっさんに言われていたのだ
理由は今でもよくわからん
俺はおっさんと向かい合わせに座ったが
観覧車が動き出すとあまりの高さにびびってしまい
外の風景を見れなくなってしまった
255 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:16:37.56 ID:tQ5P0e+K0
真のぼっちは家から出ないだろ
俺なんか7月以降出てない
258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:24:47.25 ID:flZ1wfTAO
観覧車が頂上近くまで来る頃には俺もうおっさんの顔すら見れず、
ずっと自分の足元ばかり見ていた
飛行機やお化け屋敷なんか比じゃないくらい怖かった
するとおっさんは俺に言った
おっさん「何してんねん。めっちゃええ景色やのに早よ見んかい」
俺「おっさんおかしいんちゃうか…こんなん怖すぎるやろ」
おっさん「あははははっ!こんモン怖いことあるかい!」
爆笑しながらおっさんは丸くなった俺の背中をバシバシ叩いた
俺は飛行機での復讐だと涙目になった
259 : 忍法帖【Lv=26,xxxPT】 :2011/09/01(木) 17:24:49.19 ID:TInI4rAd0
もう泣きそうだ
260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:26:26.06 ID:8KnzTTIiO
おっさんの気持ちが気になるな。
267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:34:31.48 ID:flZ1wfTAO
それからもおっさんは景色を見ろとしつこかったので
俺は身を屈めたまま勇気を出してちょっとだけ外を見た
すると視界に広がったのは青一色だった
屈んだ俺の位置からだと周りの建物なんて一切見えなくて
観覧車の窓は全部綺麗な青一色だった
俺は予想外に怖くなかった景色に
恐る恐る背筋を伸ばしてみた
ら、怖かった
268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:35:20.11 ID:nSYIyr/J0
よっぽど怖かったんだなw
273 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:49:05.98 ID:flZ1wfTAO
おっさん「お前何怖がってんねん。飛行機は乗れてたやん」
俺「飛行機はこんな高なかったわ…」
おっさん「変な奴やっちゃなぁ…まぁええわ。一回見てもうたら一緒や。ちゃんと見てみ」
俺はまだしつこいおっさんにうんざりしながらも
窓に付いてる手すりみたいなやつにガッチリ掴まって渋々周りを見ることにした
すると最初は怖かったものの慣れてきたのか
長く続いている線路
遠くに見える海
玩具のようなビル
豆粒のような人間
俺は次第に興奮していった
274 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:51:02.40 ID:9vAcNnYt0
ほっこりするスレだな
275 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:51:04.14 ID:OcThB20R0
文章上手いな
もし創作であったとしても、もう別にいい
276 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:54:38.22 ID:ElfOH7eC0
このまま泣く自信ある
277 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:57:38.38 ID:vSFVPbIk0
なんか泣きそう
278 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:58:18.31 ID:AEgUtGhO0
ふむ
279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:05:46.44 ID:O5wNbZyW0
おもしろいねん
280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:08:03.35 ID:flZ1wfTAO
まだ完全に恐怖が消えないため手すりは握ったままだったけど
もう俺は外の世界に夢中になった
そんな俺におっさんは言った
おっさん「どうや、なかなかええ景色やろ」
俺「うん、何かちょっといけてきたかも」
おっさん「おう。みんなな?そんなモンやねん。井の中の蛙言うやろ?」
俺「何それ知らん」
おっさん「だからなぁ?今自分の身近にあるモンだけが全部ちゃうってことや」
おっさん「ちょっと見る角度変えただけで、いつものしょーもない町がこんなにええモンになんねん」
おっさん「最初は誰かて怖いけど、やってしまえば案外なんとかなる」
おっさん「周りがあかんのやったら視点を変えたらええんや。わかるか?」
俺「んー…ようわからん」
おっさん「やろうなぁ」
281 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:10:00.11 ID:flZ1wfTAO
その時の俺はまだガキだったので
おっさんが何でいきなり校長先生みたいな話をしだしたのか全くわからなかったけど
「こんな話ちゃんと聞かんでええねん。何となくでええねん」
と言ったのは今でもハッキリ覚えてる
282 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:10:24.86 ID:Xvffmec50
おっさん…
283 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:10:26.59 ID:YaRWjxMl0
おっさん…
ダメなやつほどよく語るよな
そこがいいんだけど
292 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:21:16.02 ID:flZ1wfTAO
そんなこんなで観覧車を降りて辺りがちょうど暗くなり始めた頃、
俺達はいつもの町に帰ってきた
そして空き地まで戻ってくると
おっさんは渡すモンがあるからと
土管の中に潜ってしばらくしてから
ちょっと汚れたノートを俺に差し出した
おっさん「お前明日から学校やろ。ほれ、アサガオの観察日記や」
おっさんは律儀に観察を続けていたのだ
293 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:22:50.84 ID:uL383utr0
いい奴だな
294 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:23:35.41 ID:AEgUtGhO0
心はエリートだな
295 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:27:01.95 ID:flZ1wfTAO
俺「あー!めっちゃ忘れてたわ!おっさんありがとう!」
おっさん「ちゃんと毎日書いたんやで。感謝せぇよー」
俺「お礼に明日おっさんの好きなモン作ったるわ!何がええ?」
おっさん「んー、明日はええわ。って言うか…今日で仕舞いや」
俺「え?何が…?」
何がって聞かなくても空気でわかったけど
俺はあえて言葉にした
いつもみたいに冗談だと返して欲しかったのだ
296 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:27:44.54 ID:xo/g0KEQ0
ああああ・・・・
297 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:27:44.89 ID:OcThB20R0
うわああああ
299 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:28:27.28 ID:AEgUtGhO0
いやああアアアアアアア
304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:34:10.98 ID:flZ1wfTAO
頭が真っ白になった
さっきまでの楽しさは夢のように消えて
変わりに嫌な汗がダラダラと流れてきた
おっさん「もう今日でさいならっちゅーこっちゃ」
俺「だ…だから何でなん…」
おっさん「おっさんなぁ、引っ越しするんやわ」
俺「ホームレスのくせに引っ越しとかあるわけないやん…」
おっさん「いやいやホームレスだって引っ越しぐらいするって」
俺「せーへんわ…」
おっさん「するって」
俺「………」
(俺のこと嫌いになったんか?)
喉まで出かかったけどやっぱり聞けなかった
305 : 【3.5m】 :2011/09/01(木) 18:34:37.37 ID:Bwv33Yk30
なわああああ
306 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:35:53.52 ID:S8QykrVnO
おっちゃんんん!!
309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:40:13.57 ID:flZ1wfTAO
またぼっちに逆戻り
そう思うと悔しくて悲しくて悔しくて悲しくて
物凄く寂しくなった
それからおっさんは
「もう8時や。早よ帰り」と
いつものように俺の背中を押した
ただいつも違ったのは
軽くなったリュックサックを背負い
汚れたノートを抱えて唇を噛む俺だけだった
310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:40:33.88 ID:XQrFKcGG0
追いついた途端にこれかよおおおおお
313 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:44:56.59 ID:iFxmZUWB0
追いついてこれとか・・・
今起きました!
落ちてると思ってたのでびっくり
保守ありがとうございます
では相変わらず遅いですが
のんびりお付き合いください
224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 15:59:04.01 ID:Qtg32AL+O
きたか
225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 15:59:47.85 ID:YDR8eqZz0
キタ━━━━━━(・∀・)━━━━━━!!!!
226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:01:34.83 ID:egP0Y+gHO
おはようさあ続きを
227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:01:55.76 ID:tvvFNhBr0
気になるー
キター
229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:04:06.61 ID:dhXuknseO
やた!
230 : 忍法帖【Lv=29,xxxPT】 :2011/09/01(木) 16:04:07.57 ID:OjYc4xJR0
キタワァ
233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:09:43.51 ID:flZ1wfTAO
おっさんには家族の話はしたことがなかった
そしてするつもりもなかった
今思えば大人相手に気にすることもなかったのかもしれないけど
元々家庭の事情によってぼっちへと導かれてきた俺には
この話題は何が何でも言いたくなかった
だからおっさんは俺に父が居ないなんて
全く知らなかったはずなんだけど
察してくれたのだろうか
ピチピチのポロシャツと丈の短いズボンに身を包んだおっさんは
それ以上何も言ってはこなかった
そしていざ遊園地へ
237 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:20:55.70 ID:flZ1wfTAO
電車に揺られること小一時間
途中で乗り換えに失敗して責任のなすり付け合いをしながらも
どうにかこうにか遊園地に到着した
おっさん「大人1枚とガキ1枚」
俺「ガキなんて券売ってへんで」
おっさん「アホォ。子供って書いてガキって読むんじゃ」
俺「じゃあ大人って書いておっさんって読むんかー」
おっさん「うわっ、憎そいのー」
俺「すいませーん!おっさん1枚とガキ1枚くださーい!」
そして無事チケットを入手し中へ入ると
そこはもう俺にとっては夢の国だった
今みたいに凝ったアトラクションがあるわけでも
ましてやネズミがいるわけでもなかったけど
豪華な電飾に彩られた世界に俺は大興奮したのを覚えている
238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:26:11.26 ID:Kvkjjhvv0
なんかほっこりするな
240 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:27:19.20 ID:h3TWIS510
おれはこの後のもっこり展開に期待している
242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:31:19.33 ID:flZ1wfTAO
首が痛くなるくらい周りをぐるぐると見渡しながら歩いてると
まず目に入ってきたのはこれだった
俺「おっさん!おっさん!」
おっさん「何や便所か?早いのー」
俺「ちゃうわ!ほら、あれ乗ろうや!」
おっさん「んー?どれやねん」
俺「あの飛行機みたいなやつ」
おっさん「紐でブンブン回されてるやつか?」
俺「そうそう!」
おっさん「うわぁ…」
今でも正式名はわからないけど
デカい円柱の上ほうからワイヤーが吊してあって
その先に飛行機がくっついてて円柱が回転すると
遠心力的なもので飛行機が結構なスピードでブンブン回るやつ
おわかりいただけるだろうか?
243 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:33:52.02 ID:YDR8eqZz0
うわー地元の小さな遊園地なんだな
244 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:42:23.55 ID:nSYIyr/J0
分かるよ
245 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:43:06.92 ID:flZ1wfTAO
おっさんは明らかに嫌そうな顔をした
おっさん「あれめっちゃ怖そうやん…」
俺「なんで?楽しそうやん!空飛んでるみたいやん!」
おっさん「お前なぁ、あの紐取れてほんまに飛んで行ったらどないすんねん」
俺「え…?あれ取れるん?」
おっさん「紐つけてんやったら紐取れることだってあるやろ」
俺「ほんならおっさん一回乗って確認してきてや」
おっさん「しばくぞボケ」
俺は嫌がるおっさんの手を引いて何とか乗ることに成功した
一人乗り用だったので乗ってる最中におっさんがどんな顔してたかはわからないけど
終わって飛行機が停止しても
しばらくおっさんは座ったまま口半開き状態だった
246 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:51:48.78 ID:flZ1wfTAO
そんなおっさんを引きずり俺は止まることなく遊びまくった
メリーゴーランドはとにかく派手で本に出てくるお菓子の家みたいな印象だった
お化け屋敷はおっさんと手を繋ぎながら入った
めちゃくちゃ怖かったけど俺の手を引くおっさんの歩くスピードも
なかなか怖かった記憶がある
小さな線路を走る汽車にも乗ったし
水上をペダル漕ぎながら進むのも楽しかった
そうこうしてるうちに腹が減ったので
近くにあったベンチで弁当を食うことにした
247 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:54:10.76 ID:GcDKo98p0
お化け屋敷でおっさんが抱きついてくるハプニングはなかったのか
248 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:54:30.40 ID:dpJ3476W0
こういう話はやっぱおっさんが似合うな
近所のお兄さんお姉さんおばさんだとこうは似合わない
おっさんが持つ不思議な魅力だな
249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 16:55:26.01 ID:S8QykrVnO
いくらバイトをしたとはいえオッサンの財布が心配になるな
既に切なさ全開だわ
251 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:04:58.25 ID:flZ1wfTAO
おっさんは俺が弁当を持ってきたことを言うと
ちょっとびっくりしてた
おっさん「こんな時にまで作ってきたんか」
俺「こんな時やからやん。遠足に弁当持ってこん奴なんかおらんで」
おっさん「まぁせやけど…今日くらい外でなんか食わしたったのによ」
俺「ホームレスのくせにお金あるん?」
おっさん「アホ、ホームレスは家は無いけど金は意外と持ってたりするもんやねん」
俺「へーそうやったんや。じゃあおっさんの分も俺食うわ」
おっさん「いやいやいや!食いますやんか兄さん!」
おっさんは相変わらずのノリで弁当食ってたけど
俺はホームレスのおっさんに
遊園地に連れて来てくれる金があるとは思えなかった
チケットを買う時ですら子供ながらにヒヤヒヤしていたぐらいだ
だからおっさんの発言を聞いて俺は内心ホッとした
(そうか…ホームレスもお金持ってるんやなぁ…)
もちろんバイトで稼いでたのは言うまでもなかった
254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:15:28.51 ID:flZ1wfTAO
飯を食い終わってから広場に行ってヌイグルミが踊るショーを見たり
また飛行機に乗っておっさんが白目剥いたりして
とにかくこれでもかと言うくらい遊びまくった
そして時間的に次が最後だと言われると
俺は迷いなく観覧車を指差した
またお決まりなカンジだけど
来た当初にあれは最後に乗るものだとおっさんに言われていたのだ
理由は今でもよくわからん
俺はおっさんと向かい合わせに座ったが
観覧車が動き出すとあまりの高さにびびってしまい
外の風景を見れなくなってしまった
255 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:16:37.56 ID:tQ5P0e+K0
真のぼっちは家から出ないだろ
俺なんか7月以降出てない
258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:24:47.25 ID:flZ1wfTAO
観覧車が頂上近くまで来る頃には俺もうおっさんの顔すら見れず、
ずっと自分の足元ばかり見ていた
飛行機やお化け屋敷なんか比じゃないくらい怖かった
するとおっさんは俺に言った
おっさん「何してんねん。めっちゃええ景色やのに早よ見んかい」
俺「おっさんおかしいんちゃうか…こんなん怖すぎるやろ」
おっさん「あははははっ!こんモン怖いことあるかい!」
爆笑しながらおっさんは丸くなった俺の背中をバシバシ叩いた
俺は飛行機での復讐だと涙目になった
259 : 忍法帖【Lv=26,xxxPT】 :2011/09/01(木) 17:24:49.19 ID:TInI4rAd0
もう泣きそうだ
260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:26:26.06 ID:8KnzTTIiO
おっさんの気持ちが気になるな。
267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:34:31.48 ID:flZ1wfTAO
それからもおっさんは景色を見ろとしつこかったので
俺は身を屈めたまま勇気を出してちょっとだけ外を見た
すると視界に広がったのは青一色だった
屈んだ俺の位置からだと周りの建物なんて一切見えなくて
観覧車の窓は全部綺麗な青一色だった
俺は予想外に怖くなかった景色に
恐る恐る背筋を伸ばしてみた
ら、怖かった
268 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:35:20.11 ID:nSYIyr/J0
よっぽど怖かったんだなw
273 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:49:05.98 ID:flZ1wfTAO
おっさん「お前何怖がってんねん。飛行機は乗れてたやん」
俺「飛行機はこんな高なかったわ…」
おっさん「変な奴やっちゃなぁ…まぁええわ。一回見てもうたら一緒や。ちゃんと見てみ」
俺はまだしつこいおっさんにうんざりしながらも
窓に付いてる手すりみたいなやつにガッチリ掴まって渋々周りを見ることにした
すると最初は怖かったものの慣れてきたのか
長く続いている線路
遠くに見える海
玩具のようなビル
豆粒のような人間
俺は次第に興奮していった
274 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:51:02.40 ID:9vAcNnYt0
ほっこりするスレだな
275 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:51:04.14 ID:OcThB20R0
文章上手いな
もし創作であったとしても、もう別にいい
276 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:54:38.22 ID:ElfOH7eC0
このまま泣く自信ある
277 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:57:38.38 ID:vSFVPbIk0
なんか泣きそう
278 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 17:58:18.31 ID:AEgUtGhO0
ふむ
279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:05:46.44 ID:O5wNbZyW0
おもしろいねん
280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:08:03.35 ID:flZ1wfTAO
まだ完全に恐怖が消えないため手すりは握ったままだったけど
もう俺は外の世界に夢中になった
そんな俺におっさんは言った
おっさん「どうや、なかなかええ景色やろ」
俺「うん、何かちょっといけてきたかも」
おっさん「おう。みんなな?そんなモンやねん。井の中の蛙言うやろ?」
俺「何それ知らん」
おっさん「だからなぁ?今自分の身近にあるモンだけが全部ちゃうってことや」
おっさん「ちょっと見る角度変えただけで、いつものしょーもない町がこんなにええモンになんねん」
おっさん「最初は誰かて怖いけど、やってしまえば案外なんとかなる」
おっさん「周りがあかんのやったら視点を変えたらええんや。わかるか?」
俺「んー…ようわからん」
おっさん「やろうなぁ」
281 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:10:00.11 ID:flZ1wfTAO
その時の俺はまだガキだったので
おっさんが何でいきなり校長先生みたいな話をしだしたのか全くわからなかったけど
「こんな話ちゃんと聞かんでええねん。何となくでええねん」
と言ったのは今でもハッキリ覚えてる
282 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:10:24.86 ID:Xvffmec50
おっさん…
283 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:10:26.59 ID:YaRWjxMl0
おっさん…
ダメなやつほどよく語るよな
そこがいいんだけど
292 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:21:16.02 ID:flZ1wfTAO
そんなこんなで観覧車を降りて辺りがちょうど暗くなり始めた頃、
俺達はいつもの町に帰ってきた
そして空き地まで戻ってくると
おっさんは渡すモンがあるからと
土管の中に潜ってしばらくしてから
ちょっと汚れたノートを俺に差し出した
おっさん「お前明日から学校やろ。ほれ、アサガオの観察日記や」
おっさんは律儀に観察を続けていたのだ
293 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:22:50.84 ID:uL383utr0
いい奴だな
294 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:23:35.41 ID:AEgUtGhO0
心はエリートだな
295 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:27:01.95 ID:flZ1wfTAO
俺「あー!めっちゃ忘れてたわ!おっさんありがとう!」
おっさん「ちゃんと毎日書いたんやで。感謝せぇよー」
俺「お礼に明日おっさんの好きなモン作ったるわ!何がええ?」
おっさん「んー、明日はええわ。って言うか…今日で仕舞いや」
俺「え?何が…?」
何がって聞かなくても空気でわかったけど
俺はあえて言葉にした
いつもみたいに冗談だと返して欲しかったのだ
296 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:27:44.54 ID:xo/g0KEQ0
ああああ・・・・
297 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:27:44.89 ID:OcThB20R0
うわああああ
299 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:28:27.28 ID:AEgUtGhO0
いやああアアアアアアア
304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:34:10.98 ID:flZ1wfTAO
頭が真っ白になった
さっきまでの楽しさは夢のように消えて
変わりに嫌な汗がダラダラと流れてきた
おっさん「もう今日でさいならっちゅーこっちゃ」
俺「だ…だから何でなん…」
おっさん「おっさんなぁ、引っ越しするんやわ」
俺「ホームレスのくせに引っ越しとかあるわけないやん…」
おっさん「いやいやホームレスだって引っ越しぐらいするって」
俺「せーへんわ…」
おっさん「するって」
俺「………」
(俺のこと嫌いになったんか?)
喉まで出かかったけどやっぱり聞けなかった
305 : 【3.5m】 :2011/09/01(木) 18:34:37.37 ID:Bwv33Yk30
なわああああ
306 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:35:53.52 ID:S8QykrVnO
おっちゃんんん!!
309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:40:13.57 ID:flZ1wfTAO
またぼっちに逆戻り
そう思うと悔しくて悲しくて悔しくて悲しくて
物凄く寂しくなった
それからおっさんは
「もう8時や。早よ帰り」と
いつものように俺の背中を押した
ただいつも違ったのは
軽くなったリュックサックを背負い
汚れたノートを抱えて唇を噛む俺だけだった
310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:40:33.88 ID:XQrFKcGG0
追いついた途端にこれかよおおおおお
313 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/01(木) 18:44:56.59 ID:iFxmZUWB0
追いついてこれとか・・・
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