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男娼「身請けしてくんない?」 少女「そんなお金ないですね」
Part8


169 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)16:53:11 ID:s9K
バタン
少女「…」
男娼「弟、どうなった?」
少女「今日の昼に、首都の病院に移されることになりました」
男娼「へえ。良かったじゃないか。もう安心だね」
少女「はい」
男娼「…」
ムニ
少女「ひ、たっ!?」
男娼「君さっきから辛気臭い顔をしてるなあ。こっちまでげんなりしちゃうよ」グイ
少女「ごめん、なさっ。やめれくらはい!」
男娼「いつもどおりの顔してくんない?あの取り澄ました顔。僕、君のそういうのが好みだ」
少女「…こ、こうですか」
男娼「うん。そうそう」ニコ
少女「…で、私は何をすれば」
男娼「うーん、そうだなー」
男娼「…なんだろ」
少女(…え、考え込んでる?)
男娼「あはは、勢いで言っちゃったから具体的に何をさせるか考えてなかった。どうしよう」
少女「え」
男娼「とにかく君を手に入れたかったわけだからなー。うーん」
少女「…」
男娼「あ、じゃあまず着替えてもらおうかな。そのほうが僕の召抱えってかんじがするし」
少女「はあ」

170 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)17:16:31 ID:s9K
男娼「…これ、かな」ピタ
少女「…」
男娼「うーん、色がイマイチ。こっちか」ピタ
少女「あの」
男娼「うん?」
少女「私、どうしてこんな高級な服屋さんにいるんでしょうか」
男娼「だから、君の服を選びに来たんじゃない。…あー、これも駄目だ」
少女「悪いです。…こんなの」
男娼「何言ってるの?これ僕が好きでやってることだから。口答えしないで」
男娼「…うん、これがいい」
少女(なんだこの生地は…。つやつやしてる)
男娼「試着室で着て出てきなね。僕もう会計しとくから」スタスタ
少女「は、はい…」
……

少女「…」
男娼「君、白が似合うね。やっぱり」
少女(…どこかのお嬢様が着る服だろうか。値段聞きたくもない)
男娼「えーと、次はー…」
男娼「そうだ、ご飯。お腹空いたし」グイ
少女「え、ちょ」

171 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)17:20:54 ID:s9K
少女「……」ゲソ
男娼「結構美味しかったねー。僕、普段はあんな下品に脂のった肉は食べないけど」
少女「は、あ」
男娼「君、お肉嫌いだった?」
少女「いえ。大好きですけど」
男娼「それなら良かった。もう食べなくていい?」
少女「だ、大丈夫ですっ。十分ですっ」
男娼「そう。じゃあ、次はー…」
少女「あの」
男娼「なに」
少女「これ、何か違う気がします」
男娼「何が」
少女「私、あなたに色々奢らせてるみたいじゃないですか?私はあなたの召抱えなんですよね」
男娼「うん、そうだね」
少女「だったらこう、何か命令とかするんじゃないですか」
男娼「命令?僕はただ、言うことを聞けって言っただけだけど」
少女「…」
男娼「君は逆らわずそれを聞けばいいんだって」

172 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)17:24:33 ID:s9K
少女(何かおかしい)
男娼「…ね、君何か欲しいものはあるの?」
少女(絶対おかしい)
男娼「ねえってば。あ、この髪飾り可愛い。買おう」
少女(こいつは頭がおかしい)
男娼「君手入れすれば美人じゃないか。あはは、人形みたいだよ」
少女(…)
男娼「ねえ、さっきから何をぼうっとしてるの?」
少女「い、いえ」
男娼「…ふうん。まさか、弟のこと考えてた?」
少女「え」
男娼「やめてよね、それ。今、僕の抱えなんでしょ、君は」
男娼「だったら余計なこと考えないで。僕に集中してくれない?」
少女「…はい…(違うんだけど)」
男娼「分かったんならいいよ」ニコ

173 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)17:28:16 ID:s9K
男娼「あー、楽しかったー」ノビ
少女「…」
男娼「ね、こういうの何ていうか知ってる?」
少女「はい?」
男娼「想い合ってる男女が一緒に行動するんだよ。でーと、って言うんだよ」
少女「デート…って」
男娼「そうでしょ?」ニコ
少女(…確実に違う。けど、否定したらなんか怖い)
少女「そうですね。デートですね」
男娼「ふふ。まあ、一日中ってわけにはいかないけど。仕事あるし」ギュ
少女「!」
男娼「デートでは、手を握るものでしょ?これで帰ろう」
少女「…」
男娼「ちゃんと握って」
少女「わ、分かりました」キュ

174 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)17:32:46 ID:Fe7
あかん
惚れてまう
少女逃げてー

175 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)17:34:49 ID:s9K
少女(…夕方だ)
男娼「…」
少女(夕日の中にお風呂上りの遊女、早くに来る客、それから…)
少女(…なんか、この風景も悪くない、気がする)
男娼「ねえ」
少女「はい」
男娼「君はこの景色、どう思う」
少女「色町の、ですか…。他の町と変わりなく、良いものだと思いますけど」
男娼「そう」
少女「男娼さんは…どう思いますか」
男娼「汚い」
少女「…」
男娼「ヘドが出そう。ここは檻だ。人も景色も汚いよ。…勿論僕も」ギュ
少女「…どうして」
男娼「ん」
少女「笑いながら、そんなことが言えるんですか」
男娼「あは、笑ってた?やっぱり?」
少女「この町、嫌いですか」
男娼「僕はここに売られたんだよ?好きになれると思う?」
少女「い、いいえ」

176 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)17:40:26 ID:s9K
男娼「…君を初めて見たときも、夕方だった気がするな」
少女「そう、でしたっけ」
男娼「うん。薬の訪問販売に来たんだ。ちっちゃいのに大きな薬箱抱えてさ」
男娼「二階から見てても笑えたね。なんか滑稽で」
少女「う…」
男娼「でもなんか、君だけが綺麗に見えたんだよね」ボソ
少女「…ど、どういうことですか」
男娼「わかんない。けど、僕を買う客でも、身を売る奴らとも、確実に違う空気を持ってた」
少女「…」
男娼「この子は懸命に生きてるんだなー、って思った」
少女「そう、ですか」
男娼「その時、この子に身請けしてもらおうって考え始めたんだ」
少女「…そこだけは、謎なんですけど」
男娼「僕も。良くわかんない」
少女「はあ…」
男娼「…あ、もう着いちゃった」
少女「あ、本当だ」

177 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)17:44:25 ID:s9K
少女「あの、私は」
男娼「ねえねえ店主ー」
店主「あ、お前何処行ってたんだよ!もう店準備始めるぞ!」
男娼「無粋なこと聞くなよ。ね、二階に一つ使ってなかった部屋あったよね?そこ借りていい?」
店主「ああ?好きにしろよ。だから早く準備しろっ。今日こそ働いてもらうぞ」
男娼「はいはーい」
少女「…」
男娼「二階にさ、空き部屋があるんだ。白い扉の部屋。そこで寝泊りして」
少女「え、は?」
男娼「家から通うのも面倒でしょ。そうしなよ」
少女「いえ、でも」
男娼「え?拒否しちゃう?」
少女「…」ブンブン
男娼「じゃあ僕仕事の準備するから。じゃあね」ヒラヒラ
少女「…」
少女(マジか…)

181 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)19:20:30 ID:s9K
少女(…私がいてもいいんだろうか、そもそも)
「おーい、俺の白粉どこだよ」
「帯誰か貸せよー」
少女(…へえ。男娼ってこんな風なんだ、普段)
少女(普通の男の人とそんなに変わんないのね)
少女「…」ウズウズ
少女(外に出るな、とは言われてないもんね)カチャ
少女「…」
見習い「あっ、そこどいてくださいね」トテ
少女「あ、ごめんっ」
少女(…あんな小さい子まで働いてるの?何か、凹む…)
少女(…うわ。なんだ、きらきらしてる。…いい男ばっかり)

182 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)19:24:18 ID:HYZ
あれ?ひょっとして和風な世界観?

183 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)19:26:16 ID:s9K
>>182和洋折衷ってかんじ?そこらへんは良く考えてないよ。想像にお任せします
少女「…」
店長「おいおめーら、早く準備しろっ。客入るぞ」
少女「…」キョロキョロ
「…ちょっと、そこの子」
少女「は、はいっ」ビク
青年「あなた見ない顔ね。…何なの?厨房の子?」
少女「い、いえ。私、は」
青年「そもそも店主、女の子を雇う主義じゃなかったけれど」ジロジロ
少女(な、なんだこの人。女の人、みたいな恰好してるけど。…男、だよね)
青年「まあいいわ。暇ならちょっとこっち手伝ってくれないかしら」
少女「え、えっと」
青年「早く。忙しいのよ、こっちは」グイ
少女「え、え、え」
青年「うちの坊やがねー、私の今日の衣装に水こぼしやがったのよー」
青年「私身支度しなきゃいけないし、あなた乾かしておいてくれない?」
少女(えええええ)

184 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)19:31:06 ID:s9K
青年「はい、これ」ドサドサ
少女「…」
青年「はい、早く早く。私お茶引きになっちゃうわ」
少女(おちゃびき?なんだそりゃ)
少女(あーあ、皺もついちゃってる。大変だ)
青年「ふんふーん」
少女(…男の人でもお化粧するんだ。しなくても十分恰好いいのに)
少女(あいつもするのかな。なんか笑える)
青年「何にやにやしてんの?終わったのっ」
少女「は、はい只今っ」
……

青年「あら、綺麗になるもんね。卸したてみたいだわ」
少女「ど、どうも」
青年「ありがと。これお駄賃にあげるわ」ポン
少女「…あ、ありがとうございます。(あ、飴…)」
青年「あなたまさか新参の男娼見習い?服が女っぽいけど、私と同じ路線?」
少女「はっ!?」

185 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)19:35:04 ID:s9K
少女「わ、私女ですけど」
青年「あらそう。ごめんなさいね、間違えちゃった」ケラケラ
少女(…か、髪が短めだから間違えたんだよな。そうだろうな)ドキドキ
青年「まあ、ここでのお仕事は大変だろうけど頑張ってね」
少女「は、はあ」ペコ
青年「あ、私青年って言うの。ここの楼の一番の売れっ子なのよー」
少女「え、あなたが」
青年「そ。じゃあね」
バタン
少女「…あ、あれが一番?」
少女(いや、確かに背も高くてスタイル良くて色っぽいけど。…女っぽくないか?)
少女(…あいつ、青年さんに負けてるのかぁ…)ニヤ
少女「…くす」
少女(そうね。なんだか可愛げのない性格だし、とっつきにくいもの)クスクス

186 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)19:39:25 ID:s9K
青年「ふんふーん」トタトタ
店主「青年、遅い」
青年「まあ、いいじゃないの〜。間に合ってるんだし。よいしょ」
男娼「…」
青年「あらぁ、男娼ちゃん今晩は。今日も一番に来てるのね」
男娼「どうも」
青年「今日は寒いわね、お互いお茶引きにならないよう頑張りましょうねー」
男娼「…」ペコ
青年「…ところで」
青年「店主さん、さっき女の子が廊下うろうろしてたけど、何?雇ったの?」
店主「いんやぁ。ありゃ、あいつのだよ」
男娼「…」
青年「は?…どうゆうこと」
男娼「…確かに。僕のです」
青年「情婦、ってこと?あなたそういう柄だったかしら」
男娼「…彼女は」
店主「いらっしゃいませー!ほら、無駄話やめろ」
男娼「…」

187 :名無しさん@おーぷん :2015/05/24(日)19:43:58 ID:s9K
少女「…」
少女(暇)
少女(店が開店したのか、人の声が多くなったけど)
少女(…お、音とか漏れないだろうな。気が気じゃないぞ)
ガチャ
少女「!?」ビク
見習い「…」ソォ
少女(…え、さっきの男の子だ)
見習い「あ、あのっ」
少女「は、はい?」
見習い「あなたが、少女さん、ですか?」
少女「う、うん」
見習い「…男娼さんから、あなたのお部屋にこれを届けるよう、言われました」ズイ
少女「あ、ありがとう(ご飯、か。そういえば食べてないな)」
見習い「…」ジー
少女「えと」
少女「そうだ。これ、あげる」
見習い「…あめ。…い、いいんですか?」
少女「うん。(青年さん、なんかごめん)どうぞ」ニコ
見習い「…」
見習い「…」カァ