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男娼「身請けしてくんない?」 少女「そんなお金ないですね」
Part5


110 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)14:56:20 ID:vAP
男娼「あ、起きたの」
弟「あっ、男娼さん…。ごめんなさい、僕」
男娼「いいよ。熱も大分下がったみたいだし」
少女「触らないでっ」
男娼「…」
少女「弟、おいで」
弟「う、うん」
少女「…」ギュ
弟「む。おねえちゃん、痛い、よ…」
少女「…帰ろう」
弟「うん…」
少女「おぶってあげる。行こう」グイ
弟「あ、おねえちゃん。この人ね、僕を…」
少女「…あんた」
男娼「なあに?」
少女「今度、私の弟に汚い手で触ってみなさい」
少女「…殺すから」
男娼「…」
男娼「ふふ、怖ぁい」クスッ
少女「行くよ」
弟「お、おねえちゃ…」
男娼「…」クル

111 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)15:01:52 ID:vAP
少女「…」スタスタ
弟「おねえちゃん、どうしたのっ」
少女「…馬鹿!!」
弟「!」
少女「だから言ったのよ!外に出ちゃ駄目だって!私が、どれほど…」
弟「…っ」
少女「心配したと、思ってるのよっ…」ギュ
弟「ごめんなさい、僕。…ごめんなさい…」
少女「もう二度としないで。お願い。私、あんたがいないと…」
弟「うん、もうしない。…絶対、一人で外に出ない」
少女「…約束だよ」
弟「うん…」
少女「…あと、もうあの男に近づいちゃ駄目だから」
弟「男娼さんに?どうして?いい人なのに」
少女「いい人?あいつが?」
弟「だって、僕を」
少女「やめて。もう、聞きたくない。…あいつは、最低なの。弟をきっと傷つける」
少女「お姉ちゃんが守るから。あんなクズからは、絶対」
弟「…」
少女「さ、帰ろう」

114 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)15:06:37 ID:vAP
男娼「ただいまー」
店主「おう、…て、何だその顔」
男娼「ちょっとね」
店主「お前…明日に響かないようにしとけよ」
男娼「わかってるよ」
店主「あの坊やはどうしたんだ?」
男娼「ああ、あのお荷物?」
店主「お荷物?」
男娼「…そ。あの子のお荷物、…あいつなら、帰ったよ」
店主「…そうか」
男娼「…はぁ、羨ましい」ボソ
店主「何か言ったか?」
男娼「別に。寝る」
店主「お、おう…」
店主(…なんか目がヤバかったような)

115 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)15:07:56 ID:Enm
ハッピーエンドになるのかバッドエンドになるのか

116 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)15:11:09 ID:vAP
弟「…すぅ、すぅ…」
少女「…んー」ノビ
少女(つかれたー…)
少女(ったく、とんでもないことしてくれるわね)
少女(…無事だったから、いいけど。いや。或る意味無事じゃないわ)
少女(男娼…。何なのよ、あいつ)
少女(あんなクズに、うちの弟を…。ああ、ムカつく)
少女「…」ナデ
弟「…ん」モゾ
少女(…あれ?)
少女(何、このお金。…そういえば、薬売ってたって)
少女(全部売れたの?あはは、ありえない。それにこれ、いくらなんでも多すぎ…)
少女「…」
少女「あいつが?」
少女(いや、ありえない、よね)
少女「…」
少女(本当に、何なの…)

117 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)15:16:10 ID:vAP
……

少女「じゃ、いってきまーす」
弟「いってらっしゃい」
少女「いい、外に出るんじゃないわよ?今日は絶対安静」
弟「う、はぁい…」
少女「明後日は検診だものね。それまでに良くしておこう」
弟「おねえちゃん」
少女「ん?」
弟「…頑張ってね」ニコ
少女「…おう!」
バタン
少女(あー、かわええ)
少女(この笑顔で何日だって頑張れる気がする)

118 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)15:24:13 ID:KCw
追いついた(´・ω・`)応援してます……!

119 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)15:28:46 ID:vAP
店主「はあ、休みぃ!?」
男娼「うん」
店主「馬鹿も休み休み言えよな。お客待たせてどうする」
男娼「でも、頬が腫れてるんだもの」
店主「昨日の傷か?」
男娼「そんなとこ」
店主「おい、その湿布はがしてよく見せてみろ」
男娼「…」
店主「おら」グイ
男娼「…や。痛いっ…!!」
ザワ
「ちょっと店主さん、なにやってるんですか!?」
「男娼さまの頬をつねるなんて!嫌がっているでしょう!?」
ギャーギャー
店主「な、いや。違…」
男娼「…酷い経営者だ。こんなに痛いのに、休みもくれないなんて…」
「かわいそうよ!!」
「泣かないで、男娼さまぁ!!」
男娼「…」ニコ
店主「…休め」
男娼「ありがとうございます」

120 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)15:34:41 ID:vAP
男娼「…」カラ
新人「どこに行くんですか?」
男娼「君に話す利点、ある?」
新人「…」
男娼「夕方には帰る」
新人「…」
男娼「…」
「いらっしゃいませ」
男娼「…切花の束を、3つ」
「はい…。あの、種類は?」
男娼「どうでもいい。任せるよ」
「かしこまりました」
男娼「…」
「お会計、…になります」
男娼「はい」チャラ
「ありがとうございました」
男娼「…」

121 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)15:38:06 ID:vAP
「…ああ、死んでら」
「こっちの女もか?」
「見りゃ分かるだろ。心中、かねえ」
「子どもを残して夫婦ふたりだけでぽっくり、か?」
「こいつ、どうするか」
…おじさん
「なんだ」
…お母さん、どうして返事しないの? お父さん、動かないの?
「…いいか、坊主。よく聞け」
「おい、やめとけ」
「けどよ」
…死んでるの?
「…」
…へえ
「坊主?」
人って、こうやって死ぬんだ
「…笑って、んのか」

122 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)15:43:27 ID:vAP
「…な、なんだ。気味悪いぞ」
ふふ。…あはは
「おい、親が死んでるんだぞ?分かってんのか?」
「…嬉しいか」
「はあ?」
…うん。嬉しいよ。うれしい、はは
「お前知らないのか、こいつ、よく裸足で外でて泣いてたろ」
「血だらけになってることもあったしよ…」
「まじか…」
「つまり、そういうこった。…しかしな、坊主」
ふふ、あはは
「お前の父ちゃんな、俺らの所からお金借りてたんだよ。分かるか?おかね」
…くすくす
「それを返さなきゃなんねーんだ。だから」
「言ったってわかんねーよ。連れていこうぜ」
「ああ、まあ、そうだな」
…あはは…
「可哀相になあ、虐待までされて借金のカタかよ」
「けどまあ、綺麗な顔してるし高く売れるだろ。残りは働いて返してくれりゃいいさ」


124 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)17:12:29 ID:vAP
……

少女「ありがとうございましたっ」
老婆「すっかり遅くなっちゃったわね。気をつけて帰るんだよ」
少女「はい、大丈夫です。それじゃあ、次の診察までお大事に」
少女(…臨時収入、臨時収入)ニマー
少女(診察が結構入るようになったもんなぁ。えへへ、いい調子かも)
少女「…」
少女(遅いし、ここ通るか)
少女「…」タタタ
少女「…」チラ
少女(…今日は店に出てないんだ)
少女(せいせいするわ。何か変な病気にでもかかって死ねばいいのに、あいつ)
少女(…)タタ
少女「ただいまー」
少女「…ん」
少女「弟、ただいまー」
少女「……」ゾワ
少女「お、弟っ!?」バッ

125 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)17:16:16 ID:vAP
弟「…」
少女「な、なんだ。いるんなら返事しなさいよ」
弟「…」
少女「おとう、と?寝てるの?」
弟「ね、ちゃ」
少女「…弟?」
弟「…ごほっ」
ビチャ
少女「…え」
少女(なに、これ。赤いの…)
少女「お…とう、と」
弟「…がはっ…」
少女「…っ!」バッ
少女(体中に赤い斑点…!まさか、こんな大きい発作が…!何年も来てなかったのに!)
弟「ごほっ、ぐ、ううっ…!」
少女「弟、大丈夫!体に力入れないで。いいよ、咳我慢しないで!」
少女(ど、どうしよう。どうしよう…!とりあえず、発作時の薬っ…)

126 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)17:19:25 ID:vAP
少女「弟、これ!飲んでっ」
弟「…っ。ぐ…」
少女「吐き出しちゃだめ!飲みなさい!」
弟「がはっ…!」
ビチャ
少女「……!」
弟「おねえ、ちゃ…。くる、し…」
少女「大丈夫…!大丈夫だからっ」ギュ
少女(薬じゃだめだ…!病院、行かなきゃ…)バッ
少女「弟、すぐ治してあげるからっ」
バタン!
少女「はぁ、はっ」タタタ
弟「…」
少女(…冷たい)
少女(お願い、死なないで。お願い。一人にしないで)
少女「はあ、はあっ…!」

127 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)17:23:24 ID:Ok9
急展開

128 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)17:23:30 ID:vAP
……

医師「かなり、まずいですね」
少女「…」
医師「吐血と斑点は、かなりの重症であるしるしです。入院しましょう」
少女「弟は…」
医師「今は一時的に薬で良くなってはいます。けれど、ここまでとは」
医師「…最近激しく体力を消耗することはありましたか?」
少女「…、はい」
医師「うーん…」ガリ
医師「そろそろ、根本的な治療が必要ですね。彼も成長期ですし…」
少女「それって、ここでですか」
医師「いいえ。街の大きな病院でないと駄目でしょうね。紹介状を書きます」
少女「…」
医師「つかぬことを聞きますが、お金の工面はできますか?」
少女「…大丈夫、です」
医師「そうですか。では、とりあえずここに一週間入院。その後に、街に移しましょう」
少女「…お願いします」

129 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)17:26:33 ID:vAP
少女「…」
少女(お金、どうしよう)
少女(…もう、やだ)
少女(どうしてこんなに、辛い思いばっかり)
少女(…神様…)
少女「…はは」フラ
少女「…」
少女(色町の明かり…。綺麗、だな)
少女「…そっか」
少女(そうだよ)
少女「…私、はは。…馬鹿だなぁ」
少女(…最初から、こうすればよかったんだ)
少女「…」フラ
……


130 :名無しさん@おーぷん :2015/05/23(土)17:28:48 ID:Ok9
少女が娼女に…